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エナジーバー販売企業による女子アスリート支援が話題となった理由

https://youtu.be/ZikrZlCpWsE


・女子代表選手が男子との給料差を違法として競技連盟を提訴
・この問題に対し食品会社が賃金差額を女子代表選手に支払い、女性を応援するプロモーションを展開
・男女の権利平等を訴える動画を公開し、企業サイトではオリジナルSNS用画像が作成でき拡散する仕組みを設置。また、交渉をテーマに選手インタビューを掲載。
・社会問題のトレンドに合わせ女性の共感を呼ぶ取り組み。


男女格差の解消支援へ、サッカー女子代表に寄付

国際女性デーである3月8日、アメリカサッカー女子代表チームの選手らが、男子チームとの給与差を違法として、同国サッカー連盟を相手に訴えを起こし話題を呼んだ。同国では均等賃金法(Equal Pay Act)が制定されており、同じ条件下で同一職務に就く男女間の性差別的な賃金差を禁止している。ところが、代表チームにおいては、2014年のW杯に出場登録された男子選手は2015年W杯を制した女子選手より一人当たり31,250ドル(約350万円)多く受給していた。原告団は、これに加え賞金ボーナスや練習環境、育成制度などのあらゆる面における格差是正を求めた。

この騒動を受け、注目の活動を行なったのが女性をターゲットにしたエナジーバー『ルナ・バー』を販売するクリフ・バー&カンパニーだ。訴訟が起こされたカルフォルニア州に拠点を置く同社は、女子代表選手23名に対して男子選手との賃金差額の合計718,750ドル(約8050万円)を寄付した。これには女子代表のサポートを通じて、女性全てを応援するという強いメッセージが込められている。

また、この発表に合わせて“Someday Is Now(いつかは今だ)”と題した動画を公開した。これは女子代表選手らが集められ、同社の社員が「あなた達はフィールドで戦うチャンピオンであるだけでなく、女性の権利について戦うロールモデルであり、後に続く女性たちの道を切り開いている。権利は平等であるべきだ。」と前置きをした上で寄付のことを告げ、選手達が歓喜の声を上げる場面が映されている。そして最後は迅速な対応のない連盟への批判とも取れる「平等はいつかを待つべきではない、いつかは今だ」と締め括る。過去にルナ・バー公式アカウントがリリースしたプロモーション動画は数千回程度の再生回数だが、この動画は36万回を超える再生回数と、注目の高さが伺える。

<Someday Is Now(いつかは今だ)>

投稿用の画像作成などSNSで様々な取り組み

今回、取り組みを広げる仕組みとして、クリフ・バー&カンパニーの公式サイトでは、数種類ある人気選手の画像と「女性も男性と平等に扱われるべきだ」というメッセージを組み合わせて、SNSに投稿するためのオリジナル画像を作成できる。また、複数の選手がSNSで同社に感謝を述べており、中でもInstagram、Twitter合わせると1000万人近いフォロワーを持つアレックス・モーガン選手などがインフルエンサーとしても大きな役割を果たしている。

<公式サイト上で作成できるメッセージ入り画像>

<アレックス・モーガン選手のInstagramでルナ・バーとのタイアップ投稿>

他にも公式サイトでは選手らのインタビューを掲載している。フィールドでの戦いではなく、社会における戦いとして交渉をテーマにその準備の重要性や、交渉術のコツなどを語っている。このプロフェッショナルとして社会で戦う女性に向けたメッセージは、ルナ・バーの商品コンセプトにあっている。

ターゲットを明確にした今回の一連の取り組みは、絶妙なタイミングで社会問題のトレンドとも絡めたことで女性の共感を呼び、商品の認知向上およびイメージアップに大いに貢献したことだろう。通常のスポンサーシップとは少し異なる手法だが、スポーツコンテンツに対する投資としては非常に効果的な好事例といえよう。

ライター:中澤薫

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