- ヘネシーとNBAとのアクティベーション事例
- 世界中の河や海にバスケットボールコートを設置し話題化
- NBAとのパートナーシップを活用し実現したことで自然なコンテキストを設計
”Courts beyond limits“と名付けたプロジェクトで、世界各地で水辺に浮かぶロゴ入りの特設コートが登場
2022年、世界の大半の国ではコロナ禍以前の状況に戻っており、スポーツ界でも試合でマスクをしない観客が大声を出して声援を送る日常へと回帰した。そうなると当然のようにスポーツチーム、リーグのスポンサーによるアクティベーションもリアルでの人と人が触れ合う施策が増えてくる。そんな中、2022年において大きな注目を集めた企画として紹介したいのがウィスキーブランドであるヘネシーのNBAにおける取り組みだ。
ヘネシーは2019年からNBAとパートナーシップ契約を結んでいるが、2022年にNBAが75周年を迎えたことを記念した限定デザインのボトルを発売した。そしてオールスターゲームなどリーグの様々な催しに絡めオンライン、オフラインの両方で商品のPRを行っている。また、お酒ということで、NBAのイベントにあわせ著名人も参加するパーティを実施して露出を図った。例えば9月30日と10月2日にかけて埼玉スーパーアリーナで行われたゴールデンステイト・ウォリアーズとワシントン・ウィザーズによるプレシーズンゲームの終了後に、東京都内でヘネシー主催のアフターパーティが行われている。
こういった定番の施策に加え、今回ヘネシーのアクティベーションが称賛されたのはNBAと共同で行った”Courts beyond limits“(限界を超えた場所にあるコート)というプロジェクトで世界中の河や海にバスケットボールコートを設置し、そこで様々なプロモーションを行ったことだ。ヘネシーの大きなロゴが掲出された黒のコートがイギリス、オーストラリア、ナイジェリア、香港など世界各地の水辺に登場。そこで地元の人気アーティストなどが参加するイベントを実施した。
https://www.youtube.com/shorts/pqJfPKTtHac
従来にない新たなプロモーションを行うことで、定番イベントでは届かない層への訴求効果が見込める
通常ならあり得ない水の上に浮かぶバスケットボールコートは、見た目のインパクト抜群でSNSも含めて人々の目に止まりやすい。街中の会場で行うイベントでは得られない露出効果は間違いなくある。また、当たり前だがヘネシーが単独で河の上にバスケコートを登場させたとしても、そこには『何でこれをやるんだ?』という違和感を消費者に与えるだけで終わってしまう可能性もある。それが世界1のプロバスケリーグであるNBAと一緒に行うことで違和感なく大衆に受け入れられブランドの認知度、イメージ向上に繋がっていける。
お酒ということもあり、人気アーティストや著名人を招くパーティ形式のプロモーションも大事なものだ。しかし、こういう催しでは訴求効果のある人々は限られる。それがNBAという世界各地で幅広い世代に人気のバスケットボールリーグと一緒にその競技の個性を生かしたプロモーションを行うことで、これまでの定番イベントには届かなかった層にも自社ブランドの存在をアピールできる。このヘネシーのプロモーションは、奇抜で注目を集めながらも周囲に疑問を与えず、センスがある、面白いと印象づけることに成功した事例として参考にすべきものだ。そして、改めてリアルな施策だからこそのインパクトを感じさせるものだった。