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セミナー情報

第2回SSJセミナー「パナソニックが考える北米でのアクティベーション」レポート

3月29日、スポーツスポンサーシップジャーナル第2回セミナーとして「パナソニックが考える北米でのアクティベーション」が開催された。第2回目に講演いただいたのは、パナソニックノースアメリカの小杉卓正さん。今のご自身に至るまでのキャリアや、北米でのスポンサーシップ活用法についてお話しいただいた。

小杉卓正氏

まず、ご自身のこれまでのキャリアについてお話しいただいた。小杉さんは2001年に企業スポーツの野球選手としてパナソニックに入社した。その後、2004年に引退しデバイスの工場で調達を担当するが、スポーツに関わりたいという思いから英語の勉強をスタート。そして、2008年の北京オリンピック閉幕後、オリンピックを始めとするスポーツスポンサーシップを取り扱う部署に異動し、機器納入契約やオリンピック委員会とのやり取り、納入した機器のプロモーションなどを経験した。そして、2016年のリオオリンピック後、オリンピックからは一度離れ、現在はパナソニックノースアメリカで北米でのブランディングを担当、スポンサーシップを活用して自社の抱える課題解決にも取り組まれている。

企業スポーツの野球選手として会社員になり、その会社のスポーツビジネスに関わる小杉さんのケースを含め、パナソニックではスポーツビジネスの部署に限らず選手を引退してから、社業の第一線で活躍されている方が多いとのことだ。スポーツ選手のセカンドキャリア問題は頻繁に取り上げられるが、小杉さんのストーリー・経緯は非常に参考になる好事例と言える。

そして本題となる「パナソニックが北米でどのようにスポンサーシップを活用しているか」という点においては、経営課題である「BtoBブランディング」と「社員エンゲージメント」の解決を目的としていると述べた。

まず、「BtoBブランディング」という点では、オリンピックシティUSAであるコロラドスプリングス市のスマートシティパートナーとUSオリンピックミュージアムの戦略技術パートナー発表を1つの事例として挙げた。 これは協賛金を支払うスポンサーシップの形ではなくビジネスパートナーシップだ。コロラドスプリングス市は観光客を増やすためにオリンピックシティUSAとしてのスマートシティ開発を計画しており、この目玉として設立されるのがUSオリンピックミュージアム、そこにパナソニックは積極的に絡んでいき、北米におけるパナソニックブランドの認知拡大・BtoBイメージ醸成に努めていく。

このパートナーシップが実現した一つの要因として小杉さんは「人脈」を挙げている。もともとオリンピック委員会と一緒に仕事をした経験があったため、オリンピックシティUSAやUSオリンピックミュージアム関係者からの信頼もスムーズに獲得できたことがキッカケで実現したパートナーシップだ。この「人脈」は活用できる1つのスポンサーシップのメリットであると強調されていた。

そして「社員エンゲージメント」という観点では、社員アンバサダープログラムを1つの事例として挙げた。これは「DID YOU KNOW?」というパナソニックがオリンピックに貢献している事実をSNSで発信していくキャンペーンを広めていく社内アンバサダーを公募したプログラムだ。

ここ数年、アメリカでテレビCMをマーケティングにあまり活用していないなどの影響もあり、パナソニックのブランド認知度は10年前に比べると下がっていた。そこで、オリンピックを活用したソーシャルキャンペーンを実施。加えて、パナソニックが就職したいと思える魅力的な企業として認知してもらいたいという意図もあった。

このプログラムの肝は、希望した社員自身がパナソニックとオリンピックの繋がりを自ら発信することだ。そのため、その社員が自分ごととして考えるようになり、社員とのエンゲージメントを高めることができる。そしてその社員が自身のSNSで拡散することで、その周りの友人にも好意的なイメージが広がる。また、BtoBエンゲージメントも重要であったことからLinkedInの活用が効果的だった。

このように、スポーツへのスポンサーシップはその企業と社員を結びつけエンゲージメントを高めるために活用することができる。それは働く社員のモチベーションアップにも繋がり、そうした社員が増えることで社員の企業に対する満足度が高まり、優秀な人材の維持、そして就職希望者の増加といった効果が期待できる。

そして最後のまとめとして、「日本では、多くの企業がスポンサーシップの活用方法に困っていると聞いているが、だからこそスポンサーシップの目的を明確にし、経営課題をどうやって解決するか考えることが、スポンサーシップを活用する上で一番重要である」というアドバイスで本セミナーを締めくくっていただいた。

ライター:鈴木栄一

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