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セミナー情報

第5回SSJセミナー「グローバル企業のスポーツスポンサーシップ戦略」

9月26日、SSJの第5回セミナー「グローバル企業のスポーツスポンサーシップ戦略〜スポンサーシップマネジメントの現場から学ぶ〜」が開催された。

今回は、長年オリンピックのワールドワイドスポンサーであるVisaの深田浩司氏と、Visaを始め、多くのグローバル企業のスポンサーシップにおけるパートナーであるGMR日本法人代表の斎藤聡氏、そしてVisaと同じくオリンピックのワールドワイドパートナーであるブリヂストンの鳥山聡子氏をお招きして、グローバル企業におけるスポンサーシップ戦略の考え方、実施に至る部分での課題点・問題点などについてお話しいただいた。

始めに、深田氏と鳥山氏に両社がどのような目的でスポンサーシップを行うのか、斎藤氏にはグローバル企業のスポンサーシップを支援する上で重要なことについてお話しいただいた。

深田氏によると、Visaがスポンサーシップに取り組む目的は、①より多くの方にVisaというブランドの価値を訴求する、②革新的な決済ソリューションの提供により決済環境を整備する、③金融機関や加盟店のパートナーの皆さまとともにビジネスを拡大し、より誰からも選ばれるブランドとなる戦略的な目標の達成の大きく3つに分けられるという。特に東京2020オリンピックはそのビジョンとして「史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会」という目標を掲げていることからその支援に努めると共に、日本政府の目指すキャシュレス化に向けて、まだまだ進んでいない日本の状況を変えていくことを重要視している。

鳥山氏によれば、ブリヂストンは150カ国以上で事業を展開し、売り上げの8割が海外となるグローバルに広がる企業であり、その考え方を広く全世界に発信し、グローバルでブランド価値を向上するプラットフォームとして、世界的に注目を集め広く訴求力のあるオリンピックとのパートナーシップが最適であると考えた。また、自社のブランド価値を高めるだけでなく、世の中に共通価値を創造し競争優位性を確立する、社内ではグローバル企業文化を育成するという目的もあり、オリンピックとパートナーシップを組むことで、事業活動を通じて社会に貢献することを目指している。

ブリヂストン「どこまでも行こう」TVCM

斎藤氏が日本法人代表を勤めるGMRでは、スポーツイベントを通じていかに消費者の心を奪う体験を提供するか、消費者のブランドに対する思考・気持ち・行動を変えることができるか、ということを第一に考えてパートナー企業にサービスを提供しているという。また、施策の効果測定という点に関しては特に意識して取り組んでいる。

セミナーの後編では、3人がそれぞれスポンサーシップに関わる立場から日々感じていることについてお話しいただいた。

深田氏は長年営業として働いていたことから、自社の協賛イベントへお客様をご招待するといった活動の経験はあるものの、スポンサーシップに直接関与する機会は少なく、これまでは、あまりスポンサーシップを意識する機会は少なかったそうだ。しかし、実際にオリンピックに関わることで、スポンサーシップとは大会そのものを一緒に作っていく「パートナーシップ」であると実感するようになったという。

Visa「2016年リオデジャネイロオリンピックでの決済サービスの提供」

鳥山氏は、欧米と日本にはまだまだスポンサーシップについての考え方に違いがあることを感じているという。欧米はスポンサーシップを購入する目的が比較的明確であり、かつ「活用する」という意識が日本よりも高い。日本では与えられた権利の中で何ができるかを考えがちだが、目的を実現するためにどう権利を交渉・活用していくかという発想が大事だと考えている。また、そういった悩みを抱えた時に相談先となるパートナー企業が日本にはまだまだ少なく感じている。前例にとらわれないアクティベーションのアイディアと対象マーケットの理解があるパートナーを求めていると述べた。

斎藤氏も、GMRがアメリカ企業であることから社内でも「日本人だから分からないでしょ?」というスタンスを取られることも多いと感じており、欧米との差をどのように埋めていくかが重要だと考えている。そしてパートナー企業の立場から、オリンピックなどのスポーツイベントを活用したい企業は、①どんなことを成し遂げたいのかを明確にすること、②自分の足で現場に出て経験することの2点が重要であると述べた。

そして締めくくりとして、それぞれの立場から今後どのようにスポンサーシップに関わっていきたいかについて述べていただいた。

深田氏は、2020年の東京大会が自身にとって、会場内の決済オペレーションの企画から運営まで経験する初めてのオリンピックになるので、様々な経験をし、中・長期的に考えてこの経験を次に活かしたいと考えていると述べた。

鳥山氏は、ブリヂストンが2020年の東京大会以降も2024年のパリ大会までオリンピックのワールドワイドパートナーとしての権利を持っていることから、2020年に社内外でどれだけ次に繋がるレガシーを残していけるかというマインドで取り組んで行きたいと述べた。

斎藤氏も、2020年に日本は世界中の注目を集めるため、どのような価値を残すか、企業の中でどのように社内の人材を活用するかを考えることが重要なのではないかと述べた。

今回のセミナーでは、3人の登壇者それぞれの立場から述べていただいたが、共通していることは、スポンサーシップで何ができるのか、何を目的にしているのかということを明確にし、「活用」していくというマインドを持つことだろう。2020年に向けてどのようなムーブメントが生まれていくか今後も注目していきたい。

ライター:編集部

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