・ビール会社がスポンサーシップ契約を固定制→変動制に見直し。
・シーズン成績、観客動員、TV視聴率、SNSフォロワー数などによって、契約金額が変動する仕組み。
・インセンティブ重視の方式は、露出効果の測定が容易になった昨今ならではの潮流といえる。
世界最大のビール会社であるアンハイザー・ブッシュ・インべブが、今後のスポンサーシップ活動においてインセンティブをより重視する方針であることを明らかにしている。
このニューモデルは固定額に加え、あとは例えば契約期間内におけるプレーオフ進出の有無、観客動員、TV視聴率、SNSでのフォロワー数などの認知度などによって、金額が推移する仕組みとなる。すでにNASCAR、NBAウルブス、NFLセインツ、MLBドジャースなどが、同社とこのニューモデルでのスポンサー契約を結んでいる模様だ。
アンハイザー・ブッシュ・インべブは様々なエンターテインメント興行のスポンサーを務めているが、その中でもスポーツイベントは会場でのライブ観戦、自宅でのテレビ観戦の両方においてアルコール飲料との親和性が高いこともあって各競技のリーグ、チームに積極的なスポンサーシップ活動を行い莫大な資金をプロモーション費として投下してきている。それだけに、同社の方針はスポーツスポンサーシップ業界全体に少なくない影響を与える可能性を含んでいるだろう。
これまでのスポンサー契約といえば、複数年の保証金額というケースが一般的だった。5年総額30億円といえば、契約期間内においてチームが一気に低迷したり、観客動員数が大きく減少したりしてブランドイメージが低下しても契約を結んだ企業側は30億円を払う必要があった。契約とはそういうものと言ってしまえばそれまでであるが、ギャンブル性が高いことは間違いない。特にスポーツチームの場合、チームが勝ち進みプレーオフ、その先にあるファイナルに進出すると露出が一気に増加。一方で序盤から負けが先行するチームはローカルメディアの注目度も下がってしまう。そして、チームの強さは、ごく一部の常勝チームを除く大半は非常に不安定で2、3年単位で成績が乱高下することも珍しくない。
テクノロジーの進化により、現在は例えばTV放送でアリーナのどの位置にある看板は画面にどれくらいの時間、どれだけの大きさで映ったかなど詳細なデータ取得が容易になってきている。一昔前に比べて、スポンサーシップの効果がより詳細に判明できるだけに、スポンサーになりたい企業が殺到して選ぶのが大変といったチーム側が完全有利な状況でもない限り、インセンティブ重視の方式となるのは自然な流れと言えるはずだ。