- お菓子ブランドとプロスポーツチームのパートナーシップ
- 来場する子供達に自社のお菓子と食事のセットを無料配布するキャンペーンを実施
- チームアプリを介して受付し、保護者1組につき4名まで申し込める
MLBを通してブランド認知度を大きく上げたハイチュー
ハイチューといえば日本ではお馴染みのソフトキャンディーだが、アメリカではここ10年で一気にシェアを拡大しており、そのきっかけとなったのが北米プロ野球のMLBであることは知られている。当時、ボストン・レッドソックスの若手であった田澤純一投手はベンチで選手たちが試合中に口にするひまわりの種やスナック、ガムやキャンディ類を準備する役割を務めていた。そこに田澤投手がハイチューを加えると、瞬く間に人気となりそれが大きな話題となってハイチューの認知度が一気に向上。その結果、全米各地で販売される人気商品となっている。
そしてハイチューは、現在もMLBを通じてのプロモーションを続けており、2022年シーズンはシカゴ・カブス、セントルイス・カージナルス、タンパベイ・レイズの3チームのパートナーを務めている。それぞれのホームスタジアムでハイチューの広告が掲出され、商品のメインターゲットである子供やファリミー層を対象としたアクティベーションを実施している。
その一環として、レイズでは7月29日から8月25日のホームゲームにおいて『Kids Eat Free presented by HI-CHEW!』と名付けたアクティベーションを行った。これは14歳以下の子供にハイチューに加え、ホットドック、チップス、ドリンク込みのセットを提供するもの。これは1セットにつき約15ドル相当にあたる豪華なもので、保護者1組につき最大4名まで申し込める。
メインの顧客ターゲットであるファミリー層のイメージ向上を狙った取り組み
多くの家族にとってMLB観戦といえば、1年に何度も行けるわけではなく大事なハレの日のイベントだ。それだけにスタジアムフードも食べたいが、家族連れとなればその金額は少なくない負担となる。この企画を申し込めば食費が浮き、その分をチームグッズの購入費などにも回すことで、より充実した野球観戦の手助けとなる。
商品のPRを考えればサンプリングとして来場者にハイチューを配った方が、より多くの人に届けられるだろう。しかし、このサービスでハイチューを手に取る人数はサンプリング配布に比べると減ってしまうが、少なくとも申し込んだ保護者のハイチューに対するブランドイメージを大きく高めることができる。そしてスーパーに買い物に行った際、子供のお菓子としてハイチューを購入することに繋がる効果をより期待できるのではないだろうか。
また、このアクティベーションはレイズの公式アプリによる申し込み限定で対応することで、スムーズに配ることができる工夫がなされている。アプリを通しての申込みによって、どんな人たちが利用したのがはっきりとしたデータを得られる。球団にとっても、公式アプリの利用を大きく促すことができる機会になるだろう。
今回のハイチューの取り組みはより多くの人に商品を配るのではなく、自分たちの主な顧客ターゲットに対して、よりブランドイメージを高める手法で配る。量よりも質を重視したがアクティベーションとして印象深いものだ。