・ベルギーのプロ自転車チームと地元のビール会社(対象商品はノンアルコールビールブランド)のパートナーシップ。

・チーム、企業が共に大切にする価値観”結束、仲間”がキーワード。
・健康的なライフスタイルを送るサイクリングファンをターゲットにノンアルコールビールを訴求。


ベルギーを拠点とするプロサイクリングチームの強豪、Quick-Step Floorsサイクリングチーム(以下、クイックステップ)が、地元ベルギーのビール会社、Alken-Maesと2019年から複数年のスポンサー契約を締結した。Maes社は自社のノンアルコールビールブランド、「Maes 0.0%」のロゴをチームジャージの背中に掲出する事となる。

クイックステップは、UCI(国際自転車競技連合)が認定するロードレースのトップカテゴリーとなるUCIワールドチームに選ばれている18チームのうちの1つ。これまで数々のスター選手を輩出している名門だ。(チームのタイトルスポンサー、Quick-Step Floorsはベルギーのフローリング製造販売会社)。このワールドチームは、世界最高峰のロードレースと言われるツール・ド・フランスを含む欧州を中心に年間40レース近く開催されるUCIワールドツアーの全レースに出場できる権利を有する。

チームとスポンサー会社が持つ共通のキーワード

今回のスポンサー契約に至った大きな理由は、サイクリングチームとAlken-Maesの双方が重視する”仲間”、”結束”というキーワードだろう。一見、個人競技にも見えるロードレースだが、エース格の選手が終盤まで体力温存できるように風よけになるサポートメンバーの存在などチームワークも重要な要素となる競技である。一方、Maesは”真の仲間と分かち合うビール”と自社商品を位置付けている。

「MaesとQuick-Step Floorsサイクリングチームは同じ価値観を共有している。我々は、真の友達との間にある絆はグループをより強くする、と信じており、その哲学はWolfpack(チームのニックネームで、オオカミの群れという意味)とぴったりと一致している」、とMaesのマーケティングディレクターは語っている。また、クイックステップのCEOも「『Maes 0.0%』は我々のチームにとってパーフェクトマッチだ。我々を通して、チームとブランドの持つメッセージを創造力に富んだ方法で広めて行きたい。」と述べている。

健康志向のトレンドを意識したマーケティング戦略

Maes社はまた、”仲間”、”結束”というキーワードの他にサイクリングファンに対して”健康的なライフスタイル”を自社のノンアルコールビールを通して提供したいと考えている。昨今、健康志向が高まり、アルコール摂取に対してもそれぞれが気にしている中で、ビールのテイストを残しながら、アルコール0.0%で低カロリーの同製品をアピールしたいと思っており、ヨーロッパで人気のチームと組むメリットは大きい。記者会見に出席した選手からも「来年は我々の勝利をより健康的な方法で(ノンアルコールビールを飲んで)祝う事になるだろう。」といったコメントが出ており、来シーズンは間違いなく、チームが優勝を祝う場面で同社の製品を飲む選手の姿がメディアに多く映し出されるであろう。

このスポンサーシップ契約は、メディア注目度が最も高いツール・ド・フランス開催期間中に特別記者会見として発表された。ツール・ド・フランスは毎年3週間のレース期間中に1000万~1200万人が観戦に訪れ、世界190カ国で放映されているイベントであるため、発表のタイミングとしてはベストと言える。

ヨーロッパでのビジネス拡大、世界での露出を狙うスポンサーをターゲットに

しかしながらチームにとって明るい話題ばかりではない。実はチームのタイトルスポンサーを務めるクイックステップが来年以降のタイトルスポンサーから撤退する事が決まっており、まだチームを支える新しいメイン企業が決定していない(但し、サブスポンサーとしては継続の可能性あり)。チームの年間予算は約2040万ドル(約22億5,000万円)。引き続きスター選手を保持するためにはコストがかかる為、早急にメインスポンサーを獲得したいところである。ヨーロッパでのビジネス拡大や世界的なブランドの認知を考えている企業はこの機会にサイクリングチームへのスポンサーを検討するのも面白いかもしれない。