- 大手ホテルチェーンとプロスポーツクラブとのパートナーシップ
- グーグルストリートビューで世界中に150あるホテル内を探索し、チームジャージを探すキャンペーンを実施。たくさん集めるとユニフォームやVIP席での観戦チケット、ホテル宿泊券が当たる。
- キャンペーン参加者にホテルの内装や設備など詳しく知ってもらう機会となっている。
アコーホテルズが、ストリートビューを使用したキャンペーン実施
企業がスポーツスポンサーシップによって得られる代表的な効果は、スポーツチームを通しての広告掲出によって自社の認知度を大きく高められることだ。その対象は各チームの地元だけに限らない。特に試合が世界各地で放送されている欧州サッカーのトップリーグに所属するチームの場合、試合のテレビ中継やオンライン配信を通してグローバル市場で自分たちを告知できる。
フランスを拠点とし世界各地に展開しているホテルチェーンのアコーホテルズは、同国を代表するフットボールクラブであるパリサンジェルマン(PSG)と2019-20シーズンからパートナーシップを締結。同社のポイント会員プログラムであるALL –Accor Live Limitlessがユニフォームの胸部分に掲出されていることで有名だ。
このパートナーシップで様々な取り組みを行っており、例えば会員プログラムの特典としてPSGのホームゲームチケットを一般販売後に入手。また、VIP ボックス席で観戦できる体験などが含まれている。
そして今回取り上げたいのは、3月24日から4月2日にかけて実施されたAll Hidden Jerseysと名付けたキャンペーンだ。参加者はグーグルストリートビューを利用して世界中にある150のアコーホテルズ内を探索。与えられたヒントをもとに、ホテル内に隠されたPSGのジャージを見つける内容だ。
1日で最大3枚まで手に入り、ジャージの合計枚数でPSGの最新ユニフォーム、PSGの試合をVIP席で観戦や『Accor Live Limitless』で用意されている特別体験、グループホテルの宿泊といった豪華プレゼントが当たるチャンスが用意されている。
広告では得られない体験を参加者に提供し、新規顧客の開拓へ繋げる
この企画で注目すべきは、ストリートビューを通して自分たちのホテル内部をくまなく参加者に知ってもらうことができること。PSGの選手を利用した普通の広告であれば、同チェーンと会員プログラムの認知度向上しか期待できない。しかし、例えばこれまで同チェーンのホテルに泊まったことのないPSGの熱心なファンが、このキャンペーンを体験すればどんな内装、設備なのかなどホテルについて詳しくなり、気に入ることで新顧客の開拓にも繋がっていく。これは街中やスタジアムに看板を出すことでは決して得られない効果だ。
メタバースなど今、様々なテクノロジーを用いたプロモーションも増えてきている。しかし、仮想空間などオンラインで完結するのではなく、リアルな体験へと繋がることを求める企業は少なくないだろう。その観点から言っても今回のアコーズホテルのキャンペーンは、いろいろと参考になる発想が詰まっている。