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セリーナ・ウィリアムスらがオーナーの“社会派”女子サッカークラブが誕生、異色のスポンサー契約とは

https://www-stg.sports-sponsorship.jp/2021/03/doordash/


・社会課題に対し活動をする俳優・アスリート・実業家がオーナーグループとなり、社会課題の解決を目指した女子プロサッカーチームを設立。
・チームはスポンサー契約ポリシーにおいて、全ての協賛契約金の10%相当を地元の社会課題解決に充てることを宣言。
・フードデリバリー系スタートアップ企業(DoorDash)がスポンサーとなり、2021年内に約25万食、契約期間中に計300万食分を提供。
・契約発表時に女性が経営する飲食店からの注文1回につき5ドル、最大15,000ドルを地元の食料支援団体へ寄付。


著名人が社会課題の解決を目指す女子サッカーチームを設立

ハリウッド女優のナタリー・ポートマン、テニスの女王セリーナ・ウィリアムス、元女子サッカーアメリカ代表として世界一を牽引したアビー・ワンバックなど、そうそうたる面々がオーナーとして名を連ねるプロスポーツクラブが話題を集めている。それが、アメリカの女子サッカーリーグ(NWSL)に2022年から新規参入するAngel City FCだ。まだ、チーム発足前にも関わらず、その社会派なメッセージ性の強さで早くも注目を集めている。

前述の3名を含むオーナーグループには、ほかに多くの実業家らが参画し、その多くが男女間および教育格差、人種差別問題など、アメリカで度々大きな話題となる社会課題の改善に向け行動をしている。そして、60名以上の内、50名近くが女性であることも大きな特徴だ。クラブのWEBサイトやSNSを見ると、サッカークラブというよりは社会活動組織のようなメッセージが並び、例えばグッズひとつ見ても今のいちおしはAnti Racist Project(人種差別主義者反対プロジェクト)コレクションで、黒人と白人が手を固く結ぶ絵がモチーフになっている。

協賛契約金の10%相当を地元コミュニティの社会課題へ充てる

そんな社会派クラブの顔となるユニホームの胸ロゴパートナーが、2012年に地元カリフォルニアで創業されたDoorDash社に決定したことが先日発表された。同社はフードデリバリーのスタートアップで、現在Uber Eatsを抑えアメリカではシェア1位を誇る。2020年12月にはIPO(新規株式公開)を果たした伸び盛りの企業だ。

Angel City FCは独自に掲げたスポンサー契約ポリシーにおいて、全ての協賛契約金の10%相当を地元コミュニティの社会課題解決にあてることを宣言している。DoorDashはこのパートナーシップにより2021年内に約25万食、契約期間中に計300万食分を地域の必要とする人々へ提供すると発表。また、契約締結を記念して、発表当日の2月18日には1日限定の “Be an Angel”キャンペーンとして、女性が経営する飲食店からの注文1回につき5ドル(約550円)、最大15,000ドル(約165万円)を地元の食料支援団体へ寄付することも明らかにした。

昨今のスポーツ界では、マーケティングの手法として社会課題への取り組みを積極的に発信することがある種トレンドにもなっている。Angel City FCではむしろスポーツというコンテンツをハブとして活用し、社会課題の解決や地域社会の変革こそが真の活動目的であることが強く印象付けられる。特にアメリカ女子サッカーはこれまでも男女格差の是正を求めて訴訟を起こしたり、LGBT権利擁護を求めたり、何かと社会課題に対する活動が話題を集めてきた背景があり、今回いわゆる4大スポーツへの新規参入ではなく敢えて女子サッカーだったのもこうした親和性の高さが理由であると推察される。アメリカでは社会活動が市民に高く評価される傾向があり、話題性満点の同クラブとのパートナーシップは即ち「同志」であることをファンや地元住民にアピールするチャンスとなる。Angel City FCの新たなチャレンジが、今後どう展開していくのか、注目していきたい。

ライター:中澤薫

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