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レッドソックス、ビールパートナーをバドワイザーから地元クラフトビール製造会社に変更

写真:AP/アフロ


・ナショナルブランドから地元企業へパートナーシップの変更
・地元密着をテーマに掲げるチームのブランディングにもなる
・スタジアム内のバーなどスペースがSamuel Adams仕様に(リーグの規定により活動範囲はローカルエリア限定)


 MLBのボストン・レッドソックスが同じくボストンに本社を構えるボストンビール社のクラフトビールブランドであるSamuel Adamsとのパートナーシップ締結を発表している。契約は2025年までの8年契約で、詳細な契約金は明らかになっていない。多くのメジャーリーグのスタジアムでクラフトビールが提供されているが、公式パートナーとなるクラフトビールはSamuel Adamsが初めてだ。

 今回の契約により、レッドソックスのホームスタジアム「フェンウェイ・パーク」にはSamuel Adamsのロゴが至る所に掲出される。例えば、現在はバドワイザーのロゴが掲出されているライトスタンドの天井看板は、Samuel Adamsのロゴに変更となり「Sam Deck」という愛称に生まれ変わる。三塁側のスタンドには、Samuel Adamsのビールを味わえる「Sammy’s On Third.」と名付けられたバーも設置される予定だ。

 また、Samuel Adamsの中でも特に人気のある「Boston Lager」や「 Summer Ale」だけでなく、2018に発売される新しいビールもスタジアムで楽しむことができるようだ。

バドワイザーからSamuel Adamsへの変更理由は「地元密着」

 長年レッドソックスのオフィシャルビールはバドワイザーが務めていた。しかし、競合のビールブランドであるSamuel Adamsに変更する形となる。また、ボストンビール社は昨年400万樽分のビールや飲料を出荷しているが、バドワイザーの親会社であるアンハイザー・ブッシュは1億樽を出荷するなど、企業規模としては大きな開きがある。

 それだけにバドワイザーからの変更は、共にボストンにルーツがあるSamuel Adamsとレッドソックスがより地元密着のスタンスを取っていく意思の現れであると考えられる。

 Samuel Adamsは地元のチャリティーに寄付を行ったり、ボストン・マラソンのスポンサーを長年務めるなど、地元に密着した活動を行ってきた。それらに加えて、非常に人気のあるレッドソックスとパートナーシップを組むことでボストンとの関係性を強固にすることができ、ボストン地域のブランディングに繋がるだろう。

 また、レッドソックスとしても地元に愛されるチーム作りは重要であるため、同じボストンのSamuel Adamsとのパートナーシップは非常に合理的な選択であると言える。レッドソックスのチーフエグゼクティブであるサム・ケネディは「可能であるならばいつでも地元の企業やブランドとパートナーシップを組むのが我々の戦略だ。」と述べるなど、地域に根ざした戦略を取っていることが分かる。

 地元でのブランディングを目指すSamuel Adamsと、地元から愛されるチーム作りを目指すレッドソックスのパートナーシップは、まさしくWin-Winであると言える。

限られた権利の中でいかにアクティベーションするか

 しかし、メジャーリーグの公式ビールをバドワイザーが務めていることから、規定によりSamuel Adamsはボストンが在るニューイングランド地方を超えた地域でレッドソックスとのパートナーシップで得た権利を活用することができない。

 Samuel Adamsは、小売店やバーなどの広告にレッドソックスの名前やロゴの使用や、球場でコンテストなどを行えるマーケティング権利を与えられる。しかしそれらは全てニューイングランドの地域にのみ限られる。つまり「地域密着」のマーケティングでしか、レッドソックスとのパートナーシップを活用できないわけだ。

 限られた権利の中でアクティベーションを行うことは困難であるが、逆にそこがスポンサーシップのアクティベーションのおもしろさでもある。Samuel Adamsとレッドソックスの今後の取り組みに注目していくべきであろう。

ライター:編集部

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