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NBAのバックス、Master Lock社と「ロッカールームのオフィシャルロック」契約

https://www.youtube.com/watch?v=Mclr-D1B-m8

・”ロック”と”ロッカールーム”をかけて、「選手のプライバシーは絶対に守られる」というメッセージを発することで、製品クオリティの高さを表現している。
・ロッカールームで行う試合後の選手インタビューをチームと企業のデジタルチャンネルで配信。


 NBAのミルウォーキー・バックスが、パドロック(南京錠)やセキュリティ製品ブランドとして世界的に知られる、Master Lock社と来シーズンにオープンする新アリーナの「オフィシャルロック・オブ・ロッカールーム」契約を締結した。ダウンタウンにオープンする17,500人収容の新アリーナのチームのロッカールームに、同社が誇る最新のロック(鍵)が備え付けられる事になる。Master Lock社は1921年にバックスの地元ミルウォーキーに設立され、頑丈で決して壊れない、というイメージを保っている。同社が作成した過去の有名なCMでは射撃場で的に付けられた同社製品をライフルで射撃手が打ち抜くが、鍵は壊れない、と言う物で、当時、最も影響力のあるスポーツイベントの一つのNFLスーパーボウルで放映されていた。今回のバックスとのスポンサー契約で、「選手のプライバシーは絶対に守られる」というメッセージを消費者に届けるのが狙いだろう。

 このスポンサーシップ契約には、試合後、選手がロッカールームでメディアに受けるインタビュー枠の契約も含まれており、来シーズンは「バックス・ロッカールームレポート」をチームとMaster Lock社のデジタルチャンネルへ提供する事になっている。NBAのチームは試合後メディアが選手のロッカールームへ入り、試合直後のコメントを取る事を許しており、「ロッカールームインタビュー」や「ポストゲームインタビュー」として知られる。チームや状況によって様々で、ロッカールームにインタビューボードを置き、その前でインタビューを受けたり、まさにその選手のロッカーの前で周りのチームメートが着替えている中インタビューを受けたり、と、日本ではあまり見られない光景かもしれない。インタビューボードにスポンサー名を入れているチームもあれば(LAクリッパーズは自動車メーカーのKIA)、チームのロゴだけをインタビューボードに入れているチームもある。来シーズンにバックスがどの様な形でMaster Lock社のロゴを露出するかはまだ不明だが、試合後のインタビュー場面にもスポンサーを取る(取れる)という興味深い事例だろう。

 Master Lock社の製品をウェブサイトで検索してみたが、日本人の私達も必ず一度はホームセンター等で見かけた事がある製品(南京錠)であった。しかし、この会社がミルウォーキーの老舗の企業だと言う事はこのスポンサーシップを通じて知るところとなった。そのような点を考えても、スポンサー企業にとっては自社ブランドのイメージアップやプロモーションになるだけではなく、自分達がどの様な会社であるのかを世間の人々により認知してもらえる場となる。

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マーケット規模の小さなチームでも世界的規模の露出

 バックスのあるウィスコンシン州ミルウォーキーは、NBAのフランチャイズの中でもマーケットサイズは決して大きくはなく、優勝からもしばらく離れており、経営陣は苦戦を強いられているチームの一つだ(Fobesの調べによると2017年のチーム価値は785百万ドルで30チーム中27位)。しかしながら、2014年に新オーナーになった後、ダウンタウンに新アリーナを建設し、現在はそのネーミングライツのセールスに意欲を見せている。チームは年間700万ドル~1,000万ドルの20年契約をしてくれるスポンサーを探している。バックスの社長は、現在の契約交渉は最終段階に入っているとし、「今の時代、NBAのチームにとって、物理的・地理的なマーケットサイズは問題ではない。NBAは世界215カ国で放映されている。オクラホマにいようが、サンアントニオにいようが、ミルウォーキーにいようが大した問題ではない。」と語っている。

 実際、バックスにはNBAの次代を担うスター候補生と評されるギリシャ出身のヤニス・アデトクンポが在籍している。彼の存在によって、バックスは欧州など世界中のバスケファンから近年より大きな注目を集めるチームになっており、それはスポンサーとなる企業にとっても大きなメリットだろう。

 新オーナーの下、新しいアリーナをオープンし、地元の世界的企業に支えられながら、このNBAのチームが今後どのような成績をバスケットとビジネスで残していくか楽しみである。

ライター:西牟田京子

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