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現地レポート

NBAオールスターゲームレポート 前編

写真:アフロ

2月17日に米ノースカロライナ州シャーロットにて北米プロバスケットボールリーグNBAのオールスターゲームが開催された。これはファン投票や、メディア・選手・チームによる推薦で選ばれた選手が集い、2チームに分かれて試合を行うもの。試合の他に、2月14日から17日までの4日間、市内にてオールスターウィークエンドと銘打ち様々なイベントが開催された。今回はこのイベントやスポンサー企業の取り組みを紹介していく。

オールスターゲームの会場となったスペクトラムセンターでは、ゲームに先立ち1・2年目の選手達が米国出身選手と米国以外の出身選手に分かれて対戦するライジングスターズ、選手の技術力を競うスキルズチャレンジ、スリーポイントコンテスト、ダンクコンテストなどが行われた。メディアセッションと公式練習も一つのイベントとして有料チケットを販売して開催されていた。

別会場では2月15日(金)から3日間、NBAと国際バスケットボール連盟が主催する選手育成プログラムBasketball Without Bordersが行われた。31カ国から集められた16歳から18歳の男女63名が参加し、現役選手とチームのアシスタントコーチなどによる指導や練習試合を実施。日本人選手も3名参加しており、NBA選手の渡邊雄太が激励に訪れるシーンもあった。オールスター期間中に行うのは今回で5度目となり、これまで世界中で開催され、過去の参加者のうち55人がNBAチームと契約に至った実績を持つ。

他には、オールスター初日に元選手や歌手、俳優などがプレーヤーとして参加するセレブリティゲームが開催された。各種イベントにはそれぞれスポンサーも付いている。

試合会場に隣接する商業施設エピックセンターではスポンサー企業が様々なイベントを行っていた。NBAの発表によると協賛企業25社がオールスターウィークエンド期間中にアクティベーション活動を実施している。その内容を紹介していく。

アクティベーションの傾向

アクティベーションには主に三つの傾向が見られた。一つ目の傾向は企業側が自社サービスへの会員登録や、アプリのダウンロードを促すために行う仕掛けだ。これはファンへインセンティブを引っ提げて行うものが多い。

そして二つ目の傾向は、このようなイベントに欠かせない空間作りだ。ラウンジのようなリラックスできる場所を演出することに注力した企業も多かった。

ウィスキーブランドのジャックダニエルはシャーロット空港に看板広告を出しており、空港からオールスターの雰囲気を作り存在感を強めていた。エピックセンター内ではウィスキーを楽しむバーや理髪店がある「House No.7」という施設を設置していた。待合席も用意されており、その場で名前・住所・メールアドレスなどを登録するとウィスキー蒸留所をVRで見学することができる。

ジャックダニエル「House No.7」

名前や住所などを端末に登録すると、VRで蒸留所見学ができる

公式練習やメディアセッション会場のボージャングルズコロシアムには、屋外に音楽とカラオケを楽しめるトレーラーを設置していた。試合会場ではバスケットにちなんだ限定ドリンク「スラムダンク」と「ブザービーター」の販売を行っていた。

三つ目の傾向は、選手自身のブランド力を最大限に活かした取り組みだ。ファッションブランドのエキスプレスはポップアップストアを設置し、店内外は契約選手の写真で彩られていた。ストア内で撮影した写真をハッシュタグを付けて投稿したファンに、抽選で観戦チケットをプレゼントする仕掛けもあった。

エキスプレスのポップアップストア内の様子

ストア内の写真をSNSで投稿すると観戦チケットが当たるキャンペーンを実施

NBAのCOOを務めるマーク・テイタム氏へこれらのアクティベーションの傾向について伺うと、「全てのマーケターにとって、トレンドはユーザーのあらゆるデータを収集することだろう。アマゾンを例にとってもわかるように、マーケターは私達の全てを知りたがっている。」と語った。IBMの調査によると個人データを共有することに慎重な傾向があるとされるZ世代(1990年代半ばから2000年代初頭に生まれた人々)については、こう語ってくれた。「消費者視点に立つと、企業側が私達の傾向や好みを理解して、適切なものを提供してくれれば非常に便利だ。Z世代もそういった考え方を持っている。個人データを提供してもよいと思わせるには、何か価値あるものを見返りとして得られる仕組みが必要になるだろう。」

また、同氏にパートナー企業がNBAに求めている要素についても伺うと、「パートナー企業は、若く活動的でテクノロジーを使いこなせる人々に対してエンゲージメントを高めていきたいと考えている。NBAはこれらの人々をファンとして抱えており、企業との橋渡しとしての役目を求められている」と回答いただいた。

後編では現地で試合以外に繰り広げられていたもう1つの戦い、各シューズメーカーの取り組みについてレポートする。

後編はこちらから

ライター:新川諒

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