・市営のゴルフコースに地元MLB球団の名前が冠につくパートナーシップ。
・地元を代表するスポーツチームの名前が冠につくことで、様々なレベルのゴルフ大会の誘致や新規ビジネスの創出、高級住宅街建設の促進等、ゴルフコースを運営する市にとってポジティブな経済的影響が見込まれる。
・球団はチーム名の使用権に対して一切プロパティ利用料を発生させないなど、金銭的メリットはない代わりに、税金を引き上げ、新球場を建設する。まさに「市」「市民」「チーム」が一体となって地域活性化に取り組む。


 アメリカテキサス州アーリントン市とMLBのテキサス・レンジャーズは、市内に新しく建設されるゴルフコースについてパートナーシップを締結した事を発表した。新ゴルフコースは「Texas Rangers Golf Club」と命名される予定で、この夏オープンすれば、世界で唯一のMLBブランドのゴルフコースとなる見込みだ。

 このプロジェクトはもともとあった市営の「Chester W. Ditto ゴルフコース」を、2,400万ドルかけて大改修を行うというもので、アーリントン市の住人へ新しいゴルフコースを提供するだけでなく、レンジャーズの試合観戦に訪れる野球ファンや、やはり今年オープン予定の「Texas Live!」というホテル、レストラン、コンベンションセンター等が一挙に集まった複合商業エリアを訪れる訪問者への娯楽提供も目的としている。今年夏にゴルフコースがオープンした後、2019年春にはレストランやバー、ゴルフショップ等が入ったクラブハウスがオープンする予定だ。

地元へのポジティブな経済的影響

 「世界唯一のMLBがテーマのゴルフ場として、世界中の野球ファンや、地元アーリントン市のレンジャーズファンが『死ぬ前に一度は訪れたい場所』となる事を確信している」と市長は語った。このパートナーシップは、新しく出来るゴルフ場への高校から大学、そしてプロレベルのゴルフトーナメントの誘致やイベントへの貸出、周辺エリアへの新しいビジネスの創出や高級住宅街建設の促進等、ポジティブな経済的影響をアーリントン市と他のエンターテイメント施設へ与えると期待されている。「我々は毎年1400万人の訪問客をアーリントンへ迎えている。我々の仕事の一つはいかに滞在を延ばしてもらうかであり、それ故このパートナーシップをとても嬉しく思っている。会議やコンベンションでこの町を訪れた人々に『もう一日多くの滞在』を促すだろう」、とアーリントン市コンベンション&観光局のCEOは語っている。

「市」と「市民」と「チーム」一帯の地域活性化の為の協力関係

 このパートナーシップは2054年12月までとなっており、アーリントン市は新しいゴルフクラブの経営権と運営権を引き続き持ち、ゴルフのプレー料金やクラブハウスからの収入を得る事になっている。特筆すべきなのは、レンジャーズはチームのブランド名を使用する権利に対して一切プロパティ利用料を発生させず、ゴルフ場やクラブハウスで販売されるチームロゴの入る商品に対してもロイヤリティを発生させないという事だ。そして、レンジャーズは自身のマーケティングツール(球場で配布されるプログラムやオーロラビジョン、HPやSNS)においてゴルフ場の宣伝を積極的に行う予定となっている。

 現在のレンジャーズのホーム球場は1994年にオープンしたGlobe Life Park in Arlingtonであるが、テキサスの夏の40度を超える気候から、天井開閉式の球場建設が長年望まれていた。そこで市は2016年に市民投票を行い、売上税とホテル税を引き上げ、開閉式の新しい球場建設の資金として充てる法案が承認された。新しい球場は2020年に現在の球場に隣接した場所にオープンする。市はレンジャーズと新球場のリース契約をする事となっている。

 これは地元アーリントン市がいかにチームの存在価値を認め、チームの存続の為に協力的であるかの素晴らしい事例だ。市の経済活性化の為に、レンジャーズが、ゴルフコースにブランドやロゴの無償提供、コースの宣伝等で全面協力をするのも地元自治体への支援への感謝として当然の事なのかもしれない。また、レンジャーズにとって市が開発する事で球場周辺が賑わうことは、観客動員数向上が期待できる。アーリントン市の取り組みは、スポーツファンのみならず世界中の誰もが訪れたくなる旅行先の一つとなる可能性を大いに秘めている。