・試合前に会場近くの駐車場や空き地等で行う”テールゲートパーティー”専門のサービス提供業者とスポーツチームとのパートナーシップ。
・テールゲートパーティー自体は元々はアメフト観戦の文化で、大学アメフトのボウルゲームとのパートナーシップに続き、このたび野球分野にも進出。
・スポーツチーム側からすると、試合観戦するファンの満足度向上、および、スポンサーの誘引にも効果的。
テキサス州のMLBチームであるテキサス・レンジャーズが、テールゲートパーティーサービス大手の「Tailgate Guys」とパートナーシップ契約を締結した。
テールゲートパーティーとは、車の後部(Tail)を倒して平らにし、テーブル代わりに飲食をする事に由来する名称で、スポーツの試合やコンサート等のイベント前にファンが会場近くの駐車場や空き地等で行うBBQパーティーの事だ。アメリカでは特にアメリカンフットボールの試合前に楽しむ人々をよく見かける。通常は肉を焼くグリルや食材、アウトドア用のテーブルや椅子を自前で用意するのだが、それら必要な物を全て揃えてくれるサービスを専門に行うTailgate Guys社が今回レンジャーズのオフィシャル・テールゲート・パートナーとなり、様々な団体用パッケージプランをファンに提供する事となった。
ファンは手ぶらでテールゲートパーティーを楽しむ事が可能
パッケージは最小20名から用意されており、100名以上でも対応可能。ファンはレンジャーズの駐車場内に設けられたテールゲート用のエリアを予約し、パーティー用のテント、椅子、テーブル、大型TVに加え、暑い日には大型扇風機まで貸し出してくれる。必要に応じてケータリングや飲み物も用意してくれる。また、一般エリアとは違ってこの予約可能なエリアはフェンスで囲まれており、専用のトイレが設置。セキュリティーの為のガードマンも駐在している。カスタマイズしたバナーも作ってくれる ので、会社のイベントや従業員とのパーティーに利用しても良いだろう。
Tailgate Guys社は2009年にアラバマ州で始まった会社で、これまでは大学アメリカンフットボールの試合でテールゲートパーティーを行う人々に対してサービスを提供してきた事で知られる。今年初めには「Allstate Sugar Bowl」という大学フットボールのビッグゲームにおいて「オフィシャルホスピタリティパートナー」として複数年契約を締結した事を発表した。野球の分野でのパートナー契約発表は同社としては二つ目の「大きな動き」だと、Tailgate Guys社のCEOは語っている。レンジャーズのイベント部門副社長も「Tailgate Guys社が提供する上級レベルのホスピタリティと快適なサービスは2018年のレンジャーズホームゲームの素晴らしい付加価値となるだろう」と語っている。
ホスピタリティの充実がファンの満足度を向上、スポンサーをも引き付ける
MLBチームがファンへのホスピタリティの充実を図るためにスタジアムに設置したユニークなサービスは他でも見られる。例えば、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの球場にあるプールだ。このプールは1998年に球場が新設された際に右中間の外野席に設置され、毎試合35人のグループでの利用が可能だ。暑いアリゾナの気候の中、この席を購入した人々には35枚の試合のチケットと、プール、ホットタブの利用、無料の食べ物や飲み物、グッズのお土産などが付いてくる。対戦相手によって値段は変動し、4,750ドルからと安くはないが、毎年シーズン前には半数、シーズン開始後の5月には全て完売という人気の席となっている。ダイヤモンドバックスファンなら一度は観戦してみたいエリアなのである。
ダイアモンドバックスの場合、このプールエリアにネーミングライツを販売しスポンサーを付けている(2011年~現在はフィアット・クライスラー・オートモービル社がRam Truckというブランド名でネーミングライツ契約をしている)。まれにではあるが、バッターが放つホームランがプールへと入る事もあり、TV中継でも注目される為、その度に(ホームランになるかならないかも含め)スポンサーメリットは十分に得られるようだ。
「スター選手」以外の魅力の構築
これらの事例は、ファンが試合以外にも球場で楽しみを持てるよう、球団がいかに工夫をしているかの良い事例であり、グループチケットを売るアイディアはまだまだありそうだ。どんなチームも良い時と悪い時があり、スター選手がいない年もあるだろう。そんな時、「あなたのチームの魅力は?」という問いに対して、選手の名前以外の事がいくつ挙げられるかが重要である。