後編では、「オールスターファンフェスタ」で行われていたスポンサー企業のアクティベーション活動を紹介する。
現在MLBのスポンサー企業は、全部で38社であるが、その中のほとんどのスポンサー企業がファンフェスタに出展し、様々なアクティベーション活動を行っていた。

以下は、MLBのスポンサー企業のカテゴリの中で取引額の割合が高い順番に並べられたグラフである。最もアクティブなスポンサーは「New Era」で、キャップカテゴリの94%を占めるスポンサー企業である。

順位 企業名 カテゴリ 契約締結年
1 New Era キャップ 1993
2 StubHub チケット 2007
3 Budweiser ビール 1980
3 Majestic Athletic スポーツアパレル 1982
5 State Farm 個人向け保険 2007
6 TOPPS カードゲーム 2009
7 Hankook Tires タイヤ 2018
8 Coca Cola ソフトドリンク 2017
9 Papa John’s ピザ 2016
9 GEICO 自動車保険 2015

今回はこの中で、1位「New Era(ニューエラ)」と今年からスポンサー企業となりアクティブスポンサー企業の7位に入った「Hankook Tires(ハンコックタイヤ)」のファンフェスタでのアクティベーション活動を紹介する。両社のアトラクションは私が視察した中でも特に多数の来場者でにぎわっていた。

■New Era(ニューエラ)

ニューエラは1993年からMLBの公式チームキャップスポンサーとなっており、前述の通りスポーツアパレルカテゴリで最もアクティブなブランドである。ファンフェスタでは、2つのブースを構え、それぞれでユニークなアクティベーション活動を行っていたので紹介したい。

① 人間クレーンゲーム
MLBのグッズ売り場の近くに設置されていたのが、ニューエラが行っていた「人間クレーンゲーム」。その名の通り、クレーンに人間が乗りニューエラの商品を手に入れるというゲームである。このコーナーは子供たちに非常に人気があり、最大2時間待ちにもなった。

仕組みとしては簡単だが、こういったユニークで子供たちにとって魅力的なアトラクションを用意することで、ニューエラブランドを子供たちに広めることができる上、近年高齢化している野球ファン層の拡大を狙うことができる。

人間クレーンゲーム

② マイナーリーグコーナー

ニューエラはマイナーリーグの紹介コーナーでもアクティベーション活動を行っていた。以下はアメリカン・リーグの球団が、どのマイナーリーグのチームを傘下に持っているかをニューエラのキャップで示したものである。

ニューエラはMLB球団のみならず、マイナーリーグのチームのキャップも製造・販売を行っているため、この取り組みはニューエラだからこそ可能なユニークな展示となっている。こういった展示をおくことにより、マイナーリーグとしては、各チームの認知度向上、またMLB球団との関係性の理解につながり、ニューエラとしては、自社のキャップで示すことにより製品自体のプロモーションにもつながっている。

マイナーリーグコーナー

■Hankook Tires(ハンコックタイヤ)

ハンコックタイヤは2018年に入ってMLBとスポンサーシップ契約を結んだ韓国のタイヤメーカーである。2016年にはサッカーのレアル・マドリードともスポンサーシップ契約を結んでおり、スポーツでのスポンサー活動に力をいれていることがわかる。

ハンコックタイヤのブースには巨大ピンボールが設置されており、野球ボールを跳ね返して得点が書かれているタイヤにいれるゲームを行っていた。合計獲得点数が高かった参加者にはプレゼントも用意されている。また、3回失敗すると終了するルールという野球を意識したルール作りもされている。

このように、ハンコックタイヤは、タイヤと野球という一見結び付かないものを、ゲーム上で融合させることによって、ユニークなブランド力向上の取り組みを行っていた。
タイヤ業界は、先進国での車販売台数減少に伴い、市場規模が縮小傾向にあるため、こういった若い世代が参加するイベントに出展し、タイヤメーカーとしての認知度を上げていく狙いがあると思われる。

ハンコックタイヤの巨大ピンボール

このファンフェスタには、30近くのスポンサー企業がブースを出展していたが、今回紹介した2社の取り組みはファンからの人気が大変高いものであった。他のスポンサー企業もあらゆる取り組みを行っていたが、人気があるブースとそうでないブースに分かれてしまっていたため、いかにファンに興味を持ってもらえるコンテンツが提供できるかが大事なポイントになってくることがわかった。

残念ながら日本のスポーツでここまでファン向けに大規模なイベントを開催している競技団体はない。今後はオールスターゲームに限らず、多くのファンを呼び込めるような大きなスポーツイベントが開かれる場合は、スポンサー企業がアクティベーションを行う絶好のチャンスとなるため、機会を有効活用して双方がwin-winの関係を築いていけることが望まれる。

前編レポートはこちらから