7月19日(火)にワシントンD.C.にて「MLBオールスターゲーム」が開催された。アメリカン・リーグ、ナショナル・リーグそれぞれのリーグからファン投票によって選ばれたトップ選手が一堂に集い行われるこの試合は、アメリカの国民的なイベントとなっている。今回は前編・後編と2回に渡り、レポートをお届けする。
日本のプロ野球でも毎年オールスターゲームが開催されており、今年も7月13日(金)から14日(土)にかけて行われていたが、MLBのオールスターと比較すると、多くの側面で違いが見受けられる。今回はまずMLBオールスターと日本プロ野球のオールスターの運営面での違いや現在MLBのオールスターが置かれている状況について整理していきたい。
日米のオールスターゲームの違い
今年行われたMLBオールスターと日本プロ野球のオールスターの違いについて、以下の表にまとめた。
<2018年MLBオールスターと日本プロ野球のオールスターとの比較表>
MLB | 日本プロ野球 | |
開催期間 | 5日間(7/13 – 7/17) | 2日間(7/13 – 7/14) |
開催場所 | ・ナショナルズパーク@ワシントンD.C. | ・京セラドーム大阪 ・リブワーク藤崎台球場(熊本) |
コンテンツ (球場) |
・Armed ServicesClassic(13) ・All-Star Futures Game(15) ・Home Run Derby(16) ・MLB All-Star Game(17) |
オールスターゲーム(13–14) ※ホームランダービー(各試合前) ※主管がセリーグ・パリーグで別れている |
コンテンツ (球場外) |
・All-Star FanFest(13 –17) ・PLAY BALL Park(13–17) ・MLB Assembly(13 – 16) ・The Color Run MLB All-Star 5K (14) ・Home Run Derby VR Championship(7/13 – 7/16) など |
特になし |
(参考:https://www.mlb.com/all-star/schedule, http://npb.jp/allstar/2018/schedule.html)
MLBは「MLBオールスターウィーク」と銘打って、今年は7月13日(金)から7月17日(火)まで計5日間、ワシントン市内で様々なイベントを開催している。オールスターゲーム以外にも、球場では初日の7月13日(金)に現役軍人で構成されたソフトボールチームの大会である「Armed Services Classic」やマイナーリーグのオールスターである「All-Star Futures Game」、またオールスターゲームの前日には一大イベントである「Home Run Derby(ホームランダービー)」が開催される。また、この5日間はワシントン市内でオールスターに関連した様々なイベントも行われている。その中でも「All-Star FanFest(オールスターファンフェスタ)」は市内のコンベンションセンターで各協賛企業による様々な催しが開かれており、アクティベーション活動が盛んに行われている。(各スポンサー企業によるアクティベーション活動については後述)
一方、日本のプロ野球は、オールスターの試合とホームランダービーを2日間、京セラドーム大阪とリブワーク藤崎台球場(熊本)各球場で開催した。MLBのオールスターゲームが1試合開催であるのに対し、日本のプロ野球では、例年2試合か3試合行われそれぞれ別の球場で行われる。また、今年は復興支援のために熊本で開催し、2013年ぶりの地方開催となった。なお、今後は4年に一度の地方でオールスターを開催するとNPBが発表している。(http://npb.jp/news/detail/20170329_01.html)
MLBオールスターの視聴率低迷
オールスターはアメリカの国民的なイベントとしての位置づけであるが、ここ最近は視聴率の低迷が著しい。今年のテレビ視聴率は5.2%(前年5.5%)という過去最低記録を更新し、テレビコンテンツとしての人気が落ちてきていることが伺える。今や様々なソースから各チームで活躍している選手の状況を知ることができるため、オールスターゲームとしての目新しさが薄れ、自分の応援しているチームがどこまで順位を上げることができるが国民の最大の関心ごととなっているようだ。
<MLBオールスター視聴率変遷>
(出典:https://www.fangraphs.com/blogs/mlb-all-star-game-tv-ratings-hold-steady/)
このように以前と比較すると、オールスターゲームの人気が低迷していることがわかるが、実際にオールスターやその関連イベントに参加するために、市内には多くのファンが訪れる。そのファン向けて開催されているのが前述でも紹介した「オールスターファンフェスタ」である。このイベントには開催期間中10万人以上が訪れ、MLBはこのイベントを「世界最大のファンとのインタラクティブイベント」と位置づけている。今年の来場者数は11万2,390人であり、去年のマイアミで行われたファンフェスタよりも1.2%増加した。
<オールスターファンフェスタ来場者数推移>
年 | 開催地 | 来場者数 |
2018 | ワシントンD.C. | 112,390 |
2017 | マイアミ | 111,049 |
2016 | サンディエゴ | 117,144 |
2015 | シンシナシティ | 123,312 |
2014 | ミネアポリス | 114,878 |
2013 | ニューヨーク | 129,849 |
この一大イベントであるファンフェスタでは、各スポンサー企業がユニークなアクティベーション活動を行っている。実際会場ではどういったスポンサー企業がどのようなアクティベーション活動を行っていたか後編で紹介したい。