・シーズンオフのミニトーナメント大会の際に、ファンがスタジアムのピッチサイドでの宿泊できる企画を実施。
・企画はチームではなく、冠スポンサーが主体となり、Airbnbと共同で実施。
・ファンに極上のエンターテイメントを提供することで、単なるミニトーナメントにもメディアの注目が集まる。
現在、シーズン真っ只中である欧州サッカー界であるが、オフシーズンとなる夏の時期には例年、各地に様々な国からチームが集まってのミニトーナメントといった形式のプレシーズンゲームが行われている。そしてドイツの名門バイエルン・ミュンヘンの本拠地アリアンツ・アリーナを舞台にしたアウディ・カップは、昨年の8月1日、2日にバイエルン、アトレティコ・マドリード、リバプール、ナポリと強豪が集って開催された。
この大会で大きな注目を集めた試みが、冠スポンサーであるアウディが、民泊サービスを展開しているAirbnbと共同でピッチサイドにリビングのような居住スペースを作ったことだった。バスルームが1つ、ベッドも2つ付いており、周囲の視線が気にならなければまるで自宅のようにくつろぐことができる施設だ。
このスペースに一泊二日で滞在できたのは6歳から10歳までの子供を2人含めた4人家族一組。希望者は応募の際にどれだけこの試みを熱望しているのかアピールした文章を添付し、それを審査して選ばれた。
スタジアムでの滞在イベントといえば、日本でも珍しいものではなくプロ野球の東北楽天、DeNAでホームスタジアムのフィールド内でテントを張ってのキャンプイベントなどが実施されたりしている。また、MLBボストン・レッドソックスが、参加者にロッカールームを含めてスプリングキャンプ施設を使用させる大人の野球合宿といった例もある。
ただ、これらはあくまで球団が企画に大きく携わっている。しかし、今回のイベントはアリアンツ・アリーナを本拠地とするバイエルン・ミュンヘンが主導ではなく、大会のメインスポンサーであるアウディが主体となりAirbnbと共同で実施したところが大きな違いと言えるだろう。
球団が球場を使っての滞在型イベントを行うのは、ファンサービスの一環であり、球団へのロイヤリティー向上に大きく寄与するものだ。一方、大会スポンサーが行う理由としては、ファンに楽しみを提供することも1つとはいえそれ以上に大会の露出効果を高めるためではないだろうか。ピッチサイドにリビングルームを設置というのは大きな話題となり、スポーツ媒体以外のメディアにも取り上げられやすくなったはずだ。