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MLBのスター選手、ブライス・ハーパーが、バーバーショップ(床屋)チェーン経営のBlind Barberとパートナーシップ契約

https://twitter.com/BlindBarber/status/984465005457428480


・髪型とヒゲがトレードマークのプロスポーツ選手とバーバーショップ(理髪店、整髪剤)のパートナーシップ。単なるプロモーションではなく、選手自らが出資をして商品開発にも携わる。
・実弟を巻き込んだ盗み撮り動画のSNS投稿が話題の火付け役となった。
・他社のオファーを断りこのブランドを選んだ
理由は「企業のバーバーショップ文化への理解、愛情」とのこと。


MLBのワシントン・ナショナルズの強打者として知られるブライス・ハーパーとBlind Barber社がパートナーシップ契約の締結を発表した。Blind Barber社は2010年にニューヨークで創業した新しい企業で、NY・LA・シカゴに6店舗を展開するスタイリッシュなバーバーショップ(床屋)チェーンである。また、オリジナルの男性用ヘアケア製品の製造販売も行っている。

今回Blind Barber社と契約を結んだハーパーは、オールスターにも選ばれる人気選手で、ルーキー・オブ・ザ・イヤーやMVPも受賞しており、今後4億ドルを超える記録的な契約を結ぶかもしれない選手である。ハーパーはその才能あるプレーだけでなく、ふさふさの髪と髭をいつも完璧にセットしている事でも有名で、そのスタイルは彼のトレードマークとなっている。

契約は、ハーパーがBlind Barberの店舗と整髪剤等を宣伝するだけでなく、商品開発にも携わると言う物で、秋にはブライス・ハーパーブランドが販売開始となる。それに先駆け、今回このパートナーシップの発表と同時に、Blind Barberの4商品がセットになった「ブライス・ハーパーセレクト」が販売された。ラッキーな購入者4名にはハーパーの直筆サインボールが当たる、というプロモーション付きだ。

SNSを上手く利用したユニークな広報戦略

また、このパートナーシップの発表直前(前日)に、ある動画がネット上に流れた。それはハーパーの実の弟が、兄がトレードマークの髪と髭をバスルームでセットする様子を盗み撮りした動画を自身のツイッターに上げる、という物で、兄が髪をセットする時、両方の手にドライヤーを持った二刀流で仕上げている事を暴露する内容だった。盗み撮りに気付いたハーパーが振り向いて怒るのだが、「面白い!」とネット上で大変な話題になった。65万人以上が視聴し、TVのワイドショーやニュースでも取り上げられた。実はこれは宣伝戦略の一つのやらせだったのだが、スーパースターの面白動画として話題性抜群で大きな露出へとつながった。

ハーパーはBlind Barber社の株も取得する事になっており、彼のこのビジネスへの真剣度合いが伺える。Blind Barber社の経営者の一人は「数年前、グーグルで『スポーツ界のベストヘア』を検索した」と語っている。ハーパーが出て来たので、自社製品のセットを密かに送った。1年後に突然ハーパーの代理人より「ハーパーが御社の製品を気に入っている」と連絡があった。そこから1年かけて契約締結に至った。株を取得したいと言う申し出はハーパーからとの事。ハーパーは「過去にも整髪剤のブランドからオファーはあったが、Blind Barberの人達に会って、彼らがバーバーショップ文化をこよなく愛しているという点に共鳴し、彼らのヘアカットや商品を超えた創造力に感銘を受けた」と語っている。

アスリートにとっても大事な収入源であるエンドースメント契約

企業にとって一流アスリートに自社商品を愛用してもらい、宣伝してもらう事は売上アップに有効で世界中で日々契約が交わされている。Forbesによると、2017年のエンドースメント(謝礼をもらってその商品を宣伝する)契約のトップはテニスプレーヤーのロジャー・フェデラーで、5,800万ドル(総合収入1位はサッカーのクリスティアーノ・ロナウド)。Forbesの調べでは、選手の年棒や獲得賞金の収入とエンドースメント収入とに分けているのだが、トップ100のアスリートの中には本業での稼ぎよりエンドースメント収入が上回っているケースが多く見られる。アスリートにとってもエンドースメント契約獲得が重要である事がわかる(ちなみに前出のフェデラーは本業収入は600万ドル、ロナウドは本業収入5,800万ドルでエンドースメント収入が3,500万ドル)。

アスリートも企業もどの様な形のパートナーシップを誰と結ぶかをよく研究する事は重要だ。TVへの露出だけが契約理由ではなく、自社商品を愛用し、一緒に育ててくれるパートナーを得る事ができれば、契約金以上の利益や露出を得る事も可能となるだろう。選手生命がそれほど長くはないアスリート達にとっても、大事な副収入や引退後の収入源となり得るのだ

ライター:西牟田京子

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