・プロスポーツチーム、本拠地アリーナと、著名俳優が手掛けるテキーラブランドとのパートナーシップ
・企業のポイントは、いかにブランド戦略に沿った良質な商品体験を与えるか、という点(スポーツ観戦が友人や仲間との憩いの場となっており、最高の体験機会といえる)
・インスタグラムでの#タグ投稿キャンペーンを実施し、若年層ファンに対してコミュニケーションを実施。
・チーム側として有名俳優の知名度の高さ、話題性が集客に繋がるというメリットがある。
ハリウッドスターであるジョージ・クルーニーが創業者の1人であるテキーラブランドのカーサミーゴスが、NBAミルウォーキー・バックスと、2018年8月にオープンとなるバックスの新本拠地ウィスコンシン・エンターテイメント・アンド・スポーツ・センター(以下:WESC)とパートナーシップ契約を結んだ。これにより、カーサミーゴスは、バックスの公式テキーラパートナーに就任することが発表されている。
この契約によりWESCにて開催されるバックスのホームゲームや様々なコンサートやスポーツイベントの際に、カーサミーゴスが使用される特製カクテルが提供されることになる。
WESCでは、すでに飲食カテゴリーにおいては、地元のビールブランドであるミラーと公式ビールパートナー、同じく地元のソーセージブランドのクレメンツと公式ソーセージパートナーの契約を締結している。
カーサミーゴスは2013年にジョージ・クルーニーと、友人で実業家のランディ・ガーバーと不動産開発業者のマイク・メルドマンが共に立ち上げたテキーラブランドだ。もともとは友人たちと飲むために製造していたが、自己消費の目的にしては製造量が多すぎるため、商業ライセンスが必要という指摘を受けたことから会社を立ち上げたことで生まれた。そして、一流ハリウッドスターが立ち上げたという圧倒的なブランド力で急速に成長し、2017年には黒ビールブランドのギネスなどを持つイギリスの大手酒類メーカー、ディアジオに10億ドルで買収されている。ジョージ・クルーニーは今もブランドの顔として活躍している。
友達とスポーツ観戦に来る人へのアプローチ
カーサミゴースがパーナーシップを結んだ大きな要因としては、バックスのホームゲームなどWESCに訪れる人々へのアプローチであると考えられる。
カーサミーゴスは、 #HouseOfFriends (友達との憩いの場)というハッシュタグをインスタグラムで活用し、友達とカーサミーゴスを飲んでいる楽しい瞬間をシェアしてもらうというブランディングキャンペーンを展開している。
WESCは2018年8月にオープンとなっており、ミルウォーキーの人々にとってはスポーツ観戦やイベントを友達と楽しむ新しい憩いの場となる。その場でカーサミゴースを飲んでもらうことで、訪れた人々にテキーラを飲みながら友達と楽しい体験を提供することができる。
つまり、友達や仲間と来ることが一般的なスポーツ観戦のシーンに入り込むことで、既存のブランド戦略とマッチした上で、新規層へのアプローチを図ることがカーサミゴースの狙いだろう。このような試みで認知度やイメージの向上に繋がれば、最終的な売上増が期待できる。
また、WESC、バックスの両者にとっては、カーサミゴースを提供することで、サービスを拡充することができる。そしてジョージ・クルーニーという著名人創業のテキーラということで話題性があるため、集客効果と新規ファンの獲得が見込める。
カーサミゴースのように、自社のブランド戦略とマッチした上でパートナーシップを結ぶことは、一貫性のあるメッセージをファンに届けることができるため非常に重要だ。新設されるアリーナでカーサミーゴスがどのようなアクティベーションを行っていくか注目したい。