・欧州競合サッカーチームが参加するシンガポールでのプレシーズンマッチ大会に中国のカード会社がスポンサード。
・試合前に行うコイントスにて、コインではなくクレジットカードを使用。twitterを中心に話題になった。
・中国以外のアジア諸国でユーザーを増やすために実施した施策。


欧州の強豪サッカークラブが世界各地で対戦するプレシーズンマッチ大会インターナショナル・チャンピオンズ・カップ(ICC)において、シンガポールで開催されたアーセナル対パリ・サンジェルマン戦にて、試合前に行うコイントスにてコインではなくクレジットカードが使用された。

なぜこうしたクレジットカードでトスが行われたかというと、ICCのメインスポンサーが中国のクレジットカード・デビットカード会社であるUnion Pay International(以下、ユニオン・ペイ)であることに起因している。キックオフ前の陣地決めにおいて通常ならコインで行うものを、クレジットカードでトスを行ったことが非常にユニークであったことから、Twitterを中心に大きく拡散している。

ユニオン・ペイは中国発祥の決済カードで、現在は世界170の国と地域で広がっており、加盟店の数は約5100万、また48の国と地域で70億枚を超えるカードが発行されている。しかし、そのうち中国を除いた海外でのカード発行部数は約1億と見られており、ほぼ全てが中国で発行されている状況にある。そうした状況から、多くの国で利用者を増やすために、世界での認知度を高める一貫としてクレジットカードトスを行ったと考えられる。

ICCは欧州のトップクラブが対戦と、シーズンオフのプレシーズンでは数少ない魅力的な大会であり、世界中の人々から注目される。また、サッカーの試合前のコイントスは、ほとんどの場合、スタジアム内の電光掲示板やテレビでその模様が映されるため、多くの人々の注目を集める場面だ。

つまり、ユニオン・ペイは、コイントスで決済カードを使用することで、世界中の人々に自社の存在をアピールできる。Twitterでは賛否両論の声が聞こえるが、同社の世界中の認知獲得という目的は達成できていると言える。

プレシーズンマッチのスポンサーシップ

こうした少し奇抜なスポンサーシップのアクティベーションは、シーズン中の公式戦で行うことは難しい。しかし、プレシーズンであれば、こうしたスポンサー側の希望は通常よりも反映されやすい。そして、ICCのようなサッカーのトップクラブ同士の試合は、普段とは違って国外となるアメリカやアジアでの開催が多いため、現地ファンの注目が多く集まっている。つまり、プレシーズンを観るような自分たちの熱心なファンに加え、その国や地域の人々へのアプローチ手段としても有効だ。

プレシーズンマッチは期間が少ないため、長期的な認知獲得は狙うことはできないが、今回のユニオン・ペイのようにインパクトのある施策を行うことでその目的を達成できる。公式戦と比べると制約が少なく、普段できないチャレンジができるという意味では、まだまだ活用できるスポンサーシップだ。