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スペインの大手通信会社テレフォニカのスポンサーシップ戦略の変化

写真:アフロ


・スペインの大手通信会社が人気プロサッカーリーグの放映権を取得する
・一方で、人気プロサッカーチームとのスポンサーシップ契約を更新せず(ブランディングより、メディア配信事業拡大に方針変換)
・同社傘下の携帯会社はプロスポーツチームへのスポンサーシップ契約を継続し、アカデミー事業などのアクティベーションを積極的に行う


大手通信会社が、スペイン国内における主要サッカーコンテンツの放映権を取得

スポーツは性別に関係なく幅広い世代に訴求できる大衆性を備えた代表的なコンテンツであり、だからこそ特定のカテゴリーに留まらない大衆が顧客となる通信会社はスポーツを通して積極的な広告活動を行っている。それは日本、欧米など世界中で変わらない。

例えば日本ではソフトバンクはプロ野球の福岡ソフトバンクホークスを保有し、日本バスケットボール協会のスポンサーなどを務める。また、通信サービス会社ドイツテレコムの子会社であるTーモバイルは、ドイツでナンバー1の人気サッカークラブであるバイエルン・ミュンヘンの胸スポンサーを務め、アメリカではNBA、NFLと人気スポーツの試合中継時にCMを多く出稿するなど様々なケースがある。その中で今、スペインの大手通信会社テレフォニカが興味深いスポンサーシップ戦略の変更を断行した。

今夏、テレフォニカはスペイン国内におけるサッカーのヨーロッパチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの放映権を取得。すでにスペイン国内リーグ1部の放映権も2019年から3シーズンに渡って取得しており、同国内におけるサッカーの主要コンテンツを全てカバーすることになる。

バルセロナ、レアル・マドリードとのスポンサーシップ契約は延長せず

この件だけを見ると、テレフォニカはサッカー界への資金投入も加速されているように感じられる。ただ、一方でスペインを代表する2大クラブであるバルセロナ、レアル・マドリードとのスポンサーシップ契約を更新していないことが明らかになっている。

バルセロナとは2015年にラテンアメリカ地域におけるスポンサー契約を3年契約で締結。また、レアル・マドリードとは2017年2月にグローバルスポンサー契約を17ヶ月の期間で結んでいた。テレフォニカはスペインを拠点としているが、スペイン語圏を中心に世界各地で業務を展開している。それだけに、上記の2チームのスポンサーを務めることは知名度、ブランドイメージ向上に大きくつながるものと見られていた。

変わらない子会社モビスターを通じたスポーツ活動

ただ、これでテレフォニカがスポーツチームとの関わりを解消するわけではない。同社の傘下である携帯電話会社モビスターが、メインスポンサーとなっている自転車ロードレースの『モビスターチーム』、プロバスケでスペイン1部の『モビスター・エステディアンテス』のサポート体制に変わりはない。また、『ラファエル・ナダルアカデミーby モビスター』とスペイン出身のテニス選手、ラファエル・ナダルと共に行っているアカデミー事業への協力も継続して行く。

これらの行動を見ると、メディア配信事業に注力すると共に子会社モビスターのチーム名が入っているスポーツチームの支援は継続していることから、よりテレフォニカ自身が主体となれる活動に重きを置いていると考えられる。バルセロナ、レアル・マドリードとビッグクラブを通してというより、自分たちが中心となった活動を重視と、この方針変換がどのような変化をもたらすのか興味深いところだ。

ライター:鈴木栄一

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