・通信機器大手とプロスポーツチームのパートナーシップ
・5G回線の通信速度の速さを表現するためにスポンサーシップを活用。
・選手がVRヘッドセットを装着し、5Gと4Gの回線を使って送られる映像を見ながらプレーする。5G回線の速さを実感する映像を作成し、SNSで発信。
サッカー選手を起用した実証実験
サッカーのフランス・リーグ1に所属するパリ・サンジェルマン(以下:PSG)とスウェーデンの通信機器メーカーのエリクソンが、PSGの選手を起用した実証実験を行なっている。同社は2016年11月からPSGデジタル・エクスペリエンス・パートナーとなっている。
その立証実験とは、5G(第5世代移動通信システム)と4Gの反応速度の違いをテストするものだ。5Gの通信速度は4Gの100倍になると言われており、IoTへの応用などが期待されている。同社はその5Gネットワークの通信機器の開発を行っている。
この実験は、PSGのホームスタジアムであるパルク・デ・プランスで行われ、アルフォンス・アレオラ、ユリアン・ドラクスラー、マルコ・ヴェラッティ、チアゴ・シウヴァといった主力選手たちが参加した。
選手たちはVRヘッドセットを装着し、カメラが撮影した映像を見ながらプレーする。映像は一度コントロールルームを経由し選手たちのヘッドセットに送られる。送信には5Gと4Gのそれぞれの回線を使用することで、5Gの高性能を強調する結果となった。
実際、4Gの回線を使ったVRヘッドセットでは映像の送信が遅いため不自由なプレーしかできなかった。一方で、5GのVRヘッドセットでは問題なくプレーできている。
スポンサーシップを通して自社の技術力をアピール
5Gは今最も注目の集まる通信技術の代表格であり、同社は様々な通信事業会社と提携して5Gの世界的な展開を推し進めている。こうした自社の技術力をPSGという世界的に人気のあるビッグクラブとの企画によってアピールすることで、より多くの人々の注目を集めることができる。5Gが普及の鍵を握るとも言われているVRを実験に活用している点も、今後のビジネス拡大を意識してのものだろう。
また、この実験動画はTwitterなどのSNSを通して発信されている。最初にダイジェストを投稿して興味を抱かせて、翌日にフルビデオを公開している。SNSに自社の活動を投稿することは一般的であるが、こうした工夫も多くの人々にリーチさせるためには重要であろう。
What's the difference between 4G and #5G? Stay tuned for the answer tomorrow with @PSG_Inside players! #OnTheWayTowards5G pic.twitter.com/KwGSwayBJx
— Ericsson (@ericsson) 2018年11月14日
こうしたスポーツチームとテクノロジー企業のパートナーシップは非常に増えている。チームは技術提供を受けてファンに新しい体験の提供、チームパフォーマンスの向上を図ることができるなどメリットが多い。一方の企業側は自社テクノロジーの実験やアピールの場として活用できるだけでなく、ブランドイメージを高めることもできる。フランス王者のPSGと技術開発に力を入れる同社の今後の動きにも注目していきたい。