・プライベートジェットの運行会社とアリーナのパートナーシップ
・既に、親会社である航空会社がアリーナと契約している中で、最高級VIP向けのスイートルームに協賛(命名権を獲得)
・重要ターゲットである富裕層へのアプローチ手段として活用
世界的に知名度の高いアリーナでブランドの認知度の強化を図る
デルタプライベートジェット社は世界的に有名なニューヨークにある施設、マディソンスクエアガーデン(MSG)に20室ある高級席『イベントレベルスイート』の命名権契約を取得したことを発表した。
MSGは、約2万人収容のスポーツアリーナと5,000人収容のシアター等で構成された複合エンターテイメント施設で、スポーツアリーナは北米アイスホッケーリーグNHLのニューヨーク・レンジャーズ、北米プロバスケットボールNBAのニューヨーク・ニックスのホームとして知られ、他にもボクシングなどのスポーツ興行、人気アーティストによるコンサートなど様々な人気イベントが数多く行われている。
同社が獲得した『イベントレベルスイート』はレンジャーズとニックスのホームゲームを含む様々なイベントで使用されるスイートルームで、舞台近くの高価格のチケットも含まれている。価格はイベントにもよるが数十万円からとなっている(利用人数は1部屋8名~13名)。各部屋にはTV、バー、トイレが完備され、専用の接客係が付き、シェフやソムリエによる特別メニューの提供、VIP専用の出入り口利用など様々な特典が付いている。
デルタプライベートジェットにとって、MSGのようなエンターテイメント施設とのパートナーシップ契約は初めてであり、今回の契約では命名権の他に20室全てで自社ロゴの掲出やマーケティング活動が許されている。また、同スイートと年間契約をしている顧客に対して、その顧客に合わせた自社のサービスを紹介する(売り込む)機会も与えられている。
同社の親会社である大手航空会社デルタ航空は2009年よりMSGの公式航空会社かつマーケティングパートナーとなっており、2017年にはさらに10年の契約更新を発表している。従って、MSGの会場内には至る所にデルタ航空の名前や広告が掲出され、プレミアムチケット購入者だけが利用できる専用ラウンジは「Delta Sky360°」という名前がつけられている。 今回のスイート命名権契約は、MSGにおけるデルタブランドの存在感をさらに強固にする契約と言える。そして、主な契約目的はアメリカ国内外の富裕層への自社サービスのアピールだ。
Closing out the week on a high note! Yesterday, we launched our partnership with @TheGarden as the Official Partner for Event Level Suites. Read more here: https://t.co/EfVlnn8wFa pic.twitter.com/7F0qZvL3PU
— Delta Private Jets (@FlyDeltaPrivate) October 19, 2018
高級サービスを提供する企業にとってベストマッチなマーケティングの場
MSGとのパートナーシップが魅力的である理由について、同社のCEOは「両方の組織は顧客に専用のアクセスと豪華なサービスを提供する、という共通のゴールを持っている。そしてNBAの世界的なファンの増加は確実にこのパートナーシップを魅力のあるものとしている。」と説明する。
多くのスポーツファンはMSGがニックスのホームアリーナだと知っており、NBAは世界的に人気の高まっているスポーツである。また、ニューヨークは世界有数の観光地であり、ここを訪れた富裕層のスポーツファンが人気のNBAゲームを見たい時、MSGは足を運びやすい場所となっている。
同社に限らず、多くのプライベートジェットサービスを提供する企業がアリーナとパートナーシップ契約を結んでいる。 近年建設されているアリーナには必ずVIPルームやスイートルームが作られており、高級サービスを提供することで収益を高めている。利用料も高額であることから多くは一流企業や富裕層に利用されており、プライベートジェットのターゲット層とマッチしている。富裕層に対して直接マーケティングを展開できる有名アリーナとのパートナーシップ契約は、プライベートジェットの様な高価なサービスを提供する企業にとって魅力的で効果的な自社宣伝の場と言えるだろう。