- 大手ビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)とスポーツイベントのパートナーシップ
- ABインベブはウクライナ支援として、ウクライナのビール銘柄チェルニギフスケの製造スタッフの避難をサポート。さらに、同ブランドの新商品をアメリカやヨーロッパで販売。
- スポーツイベントでは支援するウクライナビールブランドを公式ビールにすることで、支援活動を拡大するとともに、自社の社会貢献活動のPRにも活用
ビーチバレー世界選手権の公式ビールスポンサーにウクライナのビールブランド
ロシアによるウクライナ侵攻は各方面に甚大な被害をもたらしており、それに伴い多くの企業が、NGO団体への寄付や物資提供など様々な形でウクライナの人々への支援を行っている。その中で注目したい取り組みを行っているのが世界最大規模のビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)だ。
6月中旬にローマで行われたビーチバレー世界選手権でウクライナを代表する銘柄のチェルニギフスケが公式ビールスポンサーとなった。これは一般的なスポンサーシップとは違い、ABインベブによるウクライナ人道支援活動の一環だ。
両者の関係について説明するとチェルギフスケがウクライナで製造できなくなったことを受け、ABインベブは同ビールに携わっているスタッフが安全な場所へと避難するのをサポート。そしてスタッフの協力を受け、チェルギフスケのレシピを再現する形でアメリカ、ヨーロッパなどで同ブランドにちなんだ新商品を開発した。
例えばアメリカでは、ニューアークの醸造所で作り、5月からロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、ヒューストン、フェニックスといった主要都市で販売された。他にも英国など欧州の複数のマーケットで製造しており、カナダ、コロンビアも含め500以上の小売業者が仕入れられる体制を構築した。この新商品の利益は全てウクライナの人道支援活動に寄付される。また、ABインベブは支援に取り組むNGO団体に少なくとも500万ドルを寄付することを確約している。
ビール会社だからこそできる施策で、自分たちの好感度アップにも繋がる
この背景を踏まえた上で今回のスポンサーシップを見てみると、大会を通してチェルニギフスケの認知度を高め、収益を寄付する取り組みのアピールすることはABインベブにとって自分たちの社会貢献活動の規模を拡大する手助けとなる。そして夏場のビーチバレー大会となれば、訪れた人は多くのビールを飲みやすい環境であり、チェルニギフスケの味をより多くの人に知ってもらえる絶好の機会となった。
また、何よりも被害を受けた地域のビールを売ることを支援活動に繋げるのは、ビール会社だからこそできる独自性があり人々の印象に残りやすい。ABインベブというグローバルに展開している世界最大手の巨大企業が、ウクライナの地元ブランドを守るために尽力することは同社の好感度アップにも大きく寄与するものだ。多くの露出効果を見込めるスポーツイベントで、自分たちの社会貢献活動を効果的にPRしているよく練られた施策と言える。