・英国決済サービス会社と元世界的スター選手がオーナーを務める米プロスポーツチーム(下部リーグ)とのパートナーシップ契約
・米国でのスポーツ賭博解禁に伴い、同社の事業拡大を狙う上で、米国を戦略的重要エリアと位置付ける
・基本的なチームのアセットはもちろん権利の中に含まれるが、実質的にはオーナーである元スター選手をプロモーションに活用できることがメリット
元スター選手が所有するクラブの胸スポンサーに
英国決済サービス会社のスクリルは、米国の実質6部にあたる独立リーグUPSL(ユナイテッドプレミアサッカーリーグ)に所属するLA10 FCの胸スポンサーに就任した。同チームはロサンゼルスに本拠地を置き、サッカー元イタリア代表でユベントスなどのビッグクラブでプレーしたデル・ピエロがオーナーを務めている。今回の契約は、以前スクリルが彼を自社のプロモーションに起用したことがきっかけに実現した。
A big LA10 welcome to our top sponsor, @skrill! Catch up on the LA soccer scene in this latest video from Skrill and hear from our owner, @delpieroale. https://t.co/x7IRcxkO6w #wearela10 #losangeles #upslsoccer #newera #upslpropremier #adp10 #adp #juventus #purepassion pic.twitter.com/y1LnBSb7bu
— LA 10 FC (@LA_10_FC) March 14, 2019
これにより、同社はユニフォームの胸部分やチーム施設へのロゴ掲出に加え、デル・ピエロを起用したプロモーションが行える権利を得る。すでに彼と北米バスケットボールリーグNBAの元スター選手スティーブ・ナッシュが対決する動画を作成している。二人とも目隠しをした状態でデル・ピエロはゴールバーへのボール当て、スティーブ・ナッシュはフリースローに挑戦する内容だ。さらにSNSキャンペーンを行っており、ファンが同様の挑戦を行った動画を #SkrillChallenge のハッシュタグと共にTwitterやInstagramに投稿し、同社のアカウントをフォローすることで、スクリルの5,000ポンド分クレジットが1名に当たる。
また、同社がユニフォームのデザイン段階で参画し、デル・ピエロの名前が刻印された限定モデルをクラブ公式サイトで販売している。
Welcome to #teamhummel, @delpieroale – the new owner of @LA_10_FC ⚫⚪
Btw… This is the new home kit of the club. Also available with a rather famous name and number on the back ??#sharethegame #hummelsport pic.twitter.com/IrwnGRSEk8
— hummel (@hummel1923) February 27, 2019
アメリカ全土へのスポーツ賭博解禁が影響
同社の決済サービスは海外への迅速な電子決済機能と安価な手数料が特徴で、185の国と40種類の貨幣に対応している。海外送金に優れていることから、海外のFX業者、オンラインカジノやスポーツ賭博へのデポジットチャージの用途でも利用されている。
アメリカにおいて、スポーツ賭博はこれまでネバダ、デラウェア、モンタナ、オレゴンの各州でだけ可能だったが、2018年5月に全米で解禁された。これを機に市場が拡大していくと推測されており、スポーツファンは同社にとって重要なターゲットだ。ロゴ露出だけではなく、ファンとのエンゲージメントを高める参加型キャンペーンなどを通じて自社への理解を深めてもらい、サービス利用者を増やすのが狙いだ。
LA10 FCは下部リーグに所属しており、知名度は低い。しかし、世界的スターであるデル・ピエロがオーナーであることから、企業の認知度を高めることができる。また、これから成長が期待されるクラブを支えていく姿勢を示していくことで、ブランドイメージの向上に繋がるだろう。
スポーツ賭博は日本でもIR(統合型リゾート)建設の文脈で語られる機会が増えている。同社のアクティベーションは、その発展に合わせて事業展開を考えている企業にとって参考となる事例だ。
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