・アルコール企業のスポンサーが規制される学生スポーツの人気トーナメントに合わせてビールメーカーがプロモーションを実施
・大会のTV中継にCM出稿し、観戦する一般スポーツファン向けにPR
・社員が外食で自社ビールを注文した場合、最大20ドルを会社が支払う(インナーモチベーションアップ、社内外のブランディングとして活用)


アルコール飲料の公式スポンサーがいない学生スポーツでの効果的な取り組み

世界随一のプロスポーツ大国であるアメリカだが、学生スポーツも大学アメリカンフットボール、大学男子バスケットボールに関しては高い人気を誇っている。男子バスケにおいてシーズン終盤は“マーチマッドネス(熱狂の3月)”と呼ばれ、その年のチャンピオンを決めるトーナメントの全米大学選手権は春の一大イベントとして定着している。

トーナメントは全ての試合がTV中継されるなど多くの露出があり、大会の主催者であるNCAA(全米体育協会)のスポンサー企業にとっては大きなPRの機会となる。ただ、NCAAの場合、プロスポーツではメインスポンサーの1つであるアルコール飲料とは、学生アスリートの大半は飲酒が禁止されている21歳以下といった要因などがあってパートナー契約を締結していない。現在、NCAAの公式パートナーになっている飲料メーカーはコカコーラのみだ。

一方で全米選手権を見ているスポーツファンの中身は、他のプロスポーツを観戦している人たちと基本的には同じ。自宅、もしくはスポーツバーで飲酒しながら試合を見ている人は多い。だからこそ、試合の合間のCMは、大きな告知効果が期待できる。

この状況をうまく活用したのが、コナビールのブランドで知られるコナブリューイング社だ。ハワイ随一のクラフトビールとして知られる同社は、今年のトーナメント期間中、全米規模で過去最大級のプロモーションを実施。特に3つの新しいテレビCMを作成して、試合の合間などに流された。

社員に自社ビール購入を促進する取り組みでイメージ向上へ

主要商品であるビッグウェーブゴールデンエールを筆頭に、コナビールの知名度は年々上昇しているが、それでもバドワイザー、ミラーなどに比べると劣っているのは否めない。全米規模のブランド認知を目指す上で、限られた広告予算をビールと親和性の高いスポーツイベントに使う。さらにプロスポーツと違い公式アルコール飲料パートナーがいないことで制約を受けないNCAA主催のビッグイベントに集中して広告を打つことは、非常に効果的な戦略だ。

また、もう1つコナブリューイングの取り組みとして見逃せないのが、一大キャンペーンに自分たちのスタッフも積極的に巻き込んでいること。トーナメント期間中、外食でコナビールを注文、もしくは小売店で購入した金額を最大20ドル(約2200円)まで会社が支払う取り組みも行なった。社員もコナビールを飲みながらトーナメントを楽しんでもらうことを推奨するのは、社内の雰囲気をよくするだけでなく、会社自体の好感度向上につながる。それは結果的に、コナビール自体のブランドイメージをよくしていくものだ。

人気プロリーグの公式スポンサーとなれるような資金力がなくとも、人気イベントを絡めたPR活動を行うことができる。今回のキャンペーンは、そのことを示すわかりやすい事例となっている。