・ビールメーカーが国民的スポーツイベントに合わせて行ったアンブッシュマーケティング
・試合に合わせてメタバース(仮想空間)にバーを開設
・メタバース内のみで人気映像作家の作ったスーパーボウル限定のCMを放映、他に500ドル相当のビールが抽選で当たる等の催しを実施。
アンブッシュマーケティングを仮想空間で実施
スポーツ界随一のイベントである北米アメリカンフットボールNFLの王座決定戦、スーパーボウルはアメリカだけで1億人近い視聴者を集める。その驚異的な露出効果もあってTVCMは、30秒で6億円以上の高額でも枠が早々に全て売れてしまう人気だ。だからこそ、特にスーパーボウル期間中、公式パートナーは様々なキャンペーンを行うなどプロモーションに力を入れる。だが、それはパートナーに限ったことではなく、非パートナー企業によるアンブッシュマーケティングも積極的に行われてきた。
スーパーボウルに関するアンブッシュマーケティングで近年、印象的な取り組みをしているのがビールブランドのミラーライトだ。NFLでビールの公式パートナーとなっているのはアンハイザー・ブッシュ・インベブで、同社の中でも低カロリーを特徴とするミケロブ・ウルトラのCMを流している。
ミラーライトは、ライバル企業であるモルソン・クアーズのブランドで、ミゲロブ・ウルトラと同じく低カロリーを特徴としている。この関係性もあって、スーパーボウルでミケロブ・ウルトラのCMが流れるならば、モルソン・クアーズはミラーライトでアンブッシュマーケティングを行う背景がある。
昨年実施したのはミケロブ・ウルトラが一缶95カロリー、ミラーライトが96カロリーの違いに着目。この1カロリー差を消費できると行動として836文字にも及ぶ、URLアドレスをタイプしてもらう企画を実施。コピー&ペーストができず、必ずタイプしないといけないこのURLのページにいくと様々な特典がもらえるキャンペーンを実施した。
メターバース内で行われた初のスーパーボウル広告を大々的にPR
そして今年のスーパーボウルで、ミラーライトが行ったのはメタバース(仮想空間)にバーを開設。そこでしか見ることができない人気映像作家の作ったスーパーボウル限定のCMを流すことだった。他にも500ドル相当のビールが抽選で当たるなどいろいろな催しを、この仮想空間の中で行った。
このプロモーションについて、ミラーライトは“The First Big Game Ad in the Metaverse”というフレーズを使って告知をしてきた。このBig Gameはもちろんスーパーボウルのことを示唆している。より多くの人々の目に触れやすいようにするのが一般的なプロモーションの目的だが、ミラーライトはあえてメタバースという閉じた空間でのマーティングを行った。
まだまだ、メタバースの認知度はそこまで高くなく、多くの人が利用するには敷居が高いイメージもある。ただ、メタバース内で初めて行われたスーパーボウルに関する広告、という革新性を打ち出すことで、この企画が様々なメディアに取り上げられ、大きな露出となった側面もある。今回のPR効果を鑑みて、これからミラーライトがメタバースとどんな関わりをしていくのか注目していきたい。