・世界的アルコール会社が、女子代表チームに加え、女子プロスポーツリーグとの複数年のパートナーシップ契約を締結
・プレイオフ、チャンピオンシップ、MVP、新設される『最も価値のあるサポーター賞』のネーミングライツを獲得
・オフシーズン期間中に同社経営幹部による選手達へのビジネスプログラムを提供する(女性アスリートの社会的地位向上やビジネス進出をサポート)
今年フランスで開催されたサッカーの女子ワールドカップ(W杯)は、7月7日にアメリカ代表が優勝し幕を閉じた。この日、バドワイザーはアメリカの女子サッカーリーグ(NWSL)と複数年のリーグスポンサー契約を締結した事を発表している。2013年より開始した同リーグにとって初めてのオフィシャルビールスポンサーとなる。
これまでにもバドワイザーはアメリカのサッカー女子代表チームのスポンサーを長きにわたって務めきた。同社のマーケティング副社長は、「NWSLのオフィシャルビールスポンサーになる事は、4年に一度(W杯のために)代表チームをサポートするだけではなく、女子サッカーを日々支えるという私たちの支援方針の現れだ」と国内リーグのスポンサーになった思いを語る。
We couldn't be more excited to support the women's game today, and tomorrow. https://t.co/SKPmrNEAGX
— Budweiser (@budweiserusa) July 7, 2019
アメリカ女子代表は、オリンピックで4回の金メダル、W杯でも4回の優勝を飾るなど無類の強さを誇っている。しかし、国内リーグの観客動員や収益にはなかなか結びついておらずリーグの活性化は急務の課題となっていた。
今回の契約内容には、リーグのプレイオフ、チャンピオンシップ、MVPのネーミングライツの他、新設される、『最も価値のあるサポーター賞』のネーミングライツも含まれる。また、各チームとスタジアムをローカルレベルでもサポートしていく。そして、シーズンオフの期間には同社の経営幹部によるビジネスプログラムが選手達に提供される予定だ。
女子サッカースター選手によるブランド立ち上げと男女平等の動き
W杯が始まる6月7日の直前に、代表選手のクリステン・プレス、トビン・ヒース、主将のミーガン・ラピーノー、2015年の代表選手メガン・クリンゲンバーグの4人が自分達の会社、『Re-Inc』を設立した事を発表した。
会社はアパレルを中心に展開を開始する。彼女達は起業したきっかけとして、過去に自分達が成し遂げた国際大会での素晴らしい成績に反して、世の中からの扱いは適切ではないと感じたことを挙げる。男性と同じかそれ以上の成績を上げたとしても女子選手がそれに見合った評価や報酬を得るのは難しい。そんな世の中の「仕組みを変えるのが目標だ」と、クリンゲンバーグは語る。ブランドには男女平等のメッセージも込められており、アパレルの展開サイズは男女別ではなく兼用のワンサイズとなっている。
また、今年5月に女子代表選手が男女平等の待遇を求めてアメリカサッカー連盟を相手取り訴訟を起こしており世間の注目を集めていた。その様な状況下でのスター選手達による起業や、W杯優勝、国内リーグの今回の大型契約はアメリカの女子サッカー界と選手達にとって大きな追い風となるだろう。
re—drop. bold self-expression. non-binary design. we exist to reimagine the status quo.
preorder now at https://t.co/y9cEyjuCxp pic.twitter.com/FTn0lBCDeQ
— reinc (@re__social) June 5, 2019
女性アスリートの地位向上や女性ビジネス進出を後押し
今年はアメリカ女子サッカーにとって話題の多い年となった。選手達はW杯だけではなく、フィールドの外でも男女平等を勝ち取るために戦っている。そういった背景もあり、オフに開催されるビジネスプログラムには彼女達に知識を授ける事で女性アスリートの地位向上や、女性のビジネス進出を支援するという同社のメッセージが読み取れる。研修の詳細は明かされていないが、これをきっかけに一人でも多くの女子選手がビジネスで成功し、経済的自立を後押しできれば、同社にとって商品のロゴ露出と並んでポジティブなイメージを消費者に届ける事ができるに違いない。