・新型コロナウイルスの状況に迅速に反応し、SNSでタイムリーなハッシュタグ投稿を実施
・契約選手が自宅でのトレーニング動画を撮影し、自身のSNSで同じハッシュタグをつけて投稿
・有料のトレーニングアプリを無料公開
トレーニングアプリの有料版を無料開放
新型コロナウイルスの感染拡大によって、全世界で自由に外出できない状況が続いている。運動不足となってしまっている人も多いだろう。そんな中、大手スポーツメーカーのナイキは、家でのワークアウトを推進する取り組みを世界各地で実施。自社のSNSアカウントから、#playinside と#playfortheworld のハッシュタグと共に「もしあなたが世界中の人々のためにプレーすることを夢見ていたならば、今がチャンスだ」とメッセージを発信した。
これには同社の契約選手も参加し、女子テニス世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズ、名門サッカークラブユヴェントスのクリスティアーノ・ロナウド、NBA(北米バスケットボール)ワシントンウィザーズの八村塁などが、メッセージと家でトレーニングする様子や、家族と過ごす様子などを自身のSNSに投稿している。この他にもYoutubeにトレーニング動画を公開しており、日本でもスキージャンプの高梨沙羅がトレーニングする様子がライブ配信された。
さらにナイキは、3月21日から米国においてサブスクリプション型トレーニングアプリ『ナイキ・トレーニング・クラブ(NTC)』を通してのトレーニング支援を行なっている。元々、NTCでは無料で誰でも自宅でトレーニングできるように、トレーナーが音声と映像でトレーニング方法を解説する185以上の動画が収録されている。さらにアメリカで展開されている有料版のNTCプレミアムになると、同社が選定した”マスタートレーナー”が提供する4〜6週間のプログラムや、栄養や健康に関するスペシャルコンテンツを利用できるようになる。今回、この有料版を無料で開放したのだ。
コロナ状況下でも迅速にアクションを起こせるか
同社の一連の活動の優れた点は、そのスピード感だ。現在の厳しい労働環境の中、こうした企画を行うことは決して簡単ではない。しかし、だからこそ素早い意思決定でアクションを起こすことは、他のブランドと差別化をもたらす。そして、ただアプリの無料開放を発信するだけでなく、企業として届けたいメッセージに絡め、より好意的に利用してもらえるように設計されている。もちろん実際に使用してもらうことで、新規の有料会員獲得へ向けた効果的なプロモーションにもなっている。
非常時でも、迅速に施策を実行できることは同社の強みだ。人々の生活や社会状況の急速な変化に対応していける企業こそが、アフターコロナの厳しい社会においても存在感を示していくと、ナイキの事例は暗示している。