・大手自動車販売会社とプロスポーツチームのパートナーシップ
・チームの本拠地スタジアムの内外に巨大スクリーンを設置し、車から楽しめるドライブ・イン・シアターを実施
・収益は貧困層への食糧支援を行うチームの財団へ寄付


スタジアムを舞台にした屋外シアターでファンサービス

プロ野球のMLB、プロバスケットボールのNBA、アイスホッケーのNHLと7月末から8月にかけて、アメリカでも新型コロナウィルスの感染拡大を受けて中断していたスポーツリーグが再開している。ただ、NBAとNHLは、移動による感染リスクをできるだけなくすため開催場所を一か所とし、無観客の隔離方式で実施。このようにいつもと違う形での運営となっている。

観客を入れての大規模エンターテイメント興行が実質的にストップしていることで、当たり前だが各チームの本拠地も稼働していない。そんな状況でも、施設の特徴を活かして活動しているのがアメリカンフットボールNFL、マイアミ・ドルフィンズの本拠地ハードロックスタジアムだ。

スタジアムは他にない巨大施設であるからこそ、他者とのソーシャルディスタンスを保ちながら人が集うことができる。また、今は高解像度の巨大スクリーンが設置されているのが普通だ。そこで同スタジアムでは、2つの屋外シアターを開設して、マイアミの人々に自宅の外でエンターテイメントを楽しめる貴重な機会を提供している。

1つはスタジアム内に直接、車で入れるようにしてそのまま車内で映画を見るドライブ・イン・シアター形式。食べ物はアプリで注文して、車までスタッフが届ける。また、もう1つはスタジアム外の芝生で覆われたスペースに、距離を保ちながらソファーを設置したもの。スタジアム外の方では、しっかりと各座席の距離を取った特設レストランでコース料理を楽しむことができる。

さらに、ここでの収益は全てドルフィンズの貧困層への食糧支援を行っている財団へと寄付される。

ドライブ・イン・シアターと相性抜群のスポンサーシップ

このイベントの正式名称は、『The Outdoor Theaters at Hard Rock Stadium presented by AutoNation』と、全米最大規模の自転車販売チェーンのAutoNationが冠スポンサーとなっている。ちなみに同社はドルフィンズで長年オーナーを務めていた実業家の故ウェイン・フイゼンガが創業者で本社は今もフロリダ州と、ドルフィンズとの繋がりが深い。

同社にとって、収益が慈善団体に寄付されるイベントをスポンサーとして支援するのはCSR活動の一貫だ。ドライブ・イン・シアターは自社の事業との親和性も高く、参加者たちは安全に楽しみながら寄付にも貢献できることで企業への信頼感の獲得や好意形成が見込める。また、ドルフィンズにとっては、今のコロナ禍においては人々に非日常のエンターテイメントを提供すること自体が1つの地域貢献となる。ファンにとっては今、どんな形でも本拠地に足を運べることは嬉しいものでチームの好感度アップにつながるだろう。

様々な催しがストップしている今、企業はスポンサーアクティベーションによって自社のPRが難しい状況となっている。そんな中でも、いろいろなチャンスがあることを今回のAutoNationの取り組みは示している。