・生命保険会社と学生バスケットボールの人気トーナメントとのパートナーシップ
・健康保険以外の様々なアクシデントに対応できることを、試合観戦の場面で起こりえる怪我にも対応できることで表現したCMを作成
・SNS上で友人へ向けてトラッシュトークを投稿すると、コロナ対策に防護服を着た俳優が企業キャラクターデザインの車で友人の家を訪れ、メッセージを伝えるキャンペーンを実施
どんな怪我にも対応できるとバスケットボールを絡めてPR
アメリカスポーツ界を代表する春の一大イベントと言えば、「マーチ・マッドネス」の愛称で知られ大学バスケットボールの全米王者を決めるNCAAトーナメントだ。昨年の大会はコロナ禍によって中止となったが、今年は通常なら全米各地が会場となるのを移動による感染リスク削減のためインディアナ州のみの集中開催方式を取り、観客も選手の親族など一部のチーム関係者を含め最大で収容人数の25%以下に制限など様々な対策を取って開催にこぎつけた。そして、大会序盤にコロナ関連で不戦敗となるチームが出たのは残念だが、日本時間6日の午前に決勝が行われベイラー大が初優勝を果たすまで大きな混乱なく終了した。
このような状況もあってスポンサーのアクティベーションは当然のように大きな制約を受けた。普段なら大会は満員の観客で大きな賑わいを見せ、特に上位4チームが一箇所に集うファイナル4は、通常のアリーナと違い普段はアメリカンフットボールNFLチームのホームスタジアムで行われ、5万人以上の観客を集める。今年も会場自体はNFLインディアポリス・コルツの本拠地ルーカス・オイルスタジアムと巨大だったが、観客は1万人以下に抑えられた。
そんな中でも各企業は様々な工夫をこらしており、今回は大手生命保険会社アフラックの取り組みを紹介したい。アフラックがマーチ・マッドネスを通して強調したのは、自分たちには健康保険以外にも様々なアクシデントに対応できる商品があること。この大会は母校や地元のチームに対し、熱狂的な声援を送る人が多いのが特徴であり、応援に力が入りすぎたことで起こった怪我もカバーできる。また、バスケットボールでは試合の合間に一般の観客が参加し、シュートを決めると豪華商品がもらえるイベントが定番だが、そこでの故障もアフラックなら大丈夫と伝えている。
スポンサーシップを行う競技、大会の背景をしっかり考えたアクティベーション
そして、コロナ禍の制限された状況だからこそ、行ったアクティベーションがある。通常のNCAAトーナメントであれば仲の良い友人と一緒にホームパーティ形式で観戦し、お互いの応援するチームの結果を受け、友人だからこそできる冗談交じりの口論(トラッシュトーク)をするのが1つの定番文化だが、今はパーティを自粛しないといけない。
これを受けてアフラックは、大会序盤の3月17日から19日にかけTwitterに#PostPainTrashTalkとハッシュタグをつけ、友人の名前、住んでいる地域、伝えたいメッセージを記入した投稿を募集するキャンペーンを実施。いくつかの投稿については実際にアフラックが雇った俳優が防護服を着用し、アフラックのキャラクターであるアヒルをモチーフとした特別デザインの車で、メッセージを届ける予定だ。
もちろん今はメールや携帯などを使って簡単に離れた友人と、試合の感想についてトラッシュトークをすることはできる。ただ、ここであえて、この大袈裟な企画を行うことで多くの人々に、アフラックはユーモアのある会社とのイメージを与えることができる。このコロナ禍で閉塞感の漂う昨今の社会情勢においては、こういう印象を持たれることは企業にとって普段以上に大きな意味を持つだろう。特に保険は一般ユーザーからすると同業他社との商品の違いが分かりにくい業種であり、自社のブランドイメージを高めることは何よりも重要となる。
また、このキャンペーン以外にも試合前、解説者たちが試合の予想を行う事前番組に、日本でもCMに登場するアフラックといえばおなじみにアヒルが登場して話題となった。商品の内容紹介ではなく、スポンサーシップを行う競技、大会の背景をしっかり踏まえた上でのプロモーションを行う重要性をアフラックは示している。
“Who let the @aflac Duck in the studio?” 🦆🤣 pic.twitter.com/CTutvhdVx7
— NCAA March Madness (@marchmadness) March 30, 2021