・オリンピックの放映・配信権を獲得したスポーツメディア「ユーロスポーツ」とSNSサービスとのパートナーシップ
・欧米と日本でのオリンピック放送・配信の違いに注目
・既存のメディアではアプローチしにくいユーザー(女性・若年層)に視聴してもらうことがパートナーシップの目的
特に若者への人気ソーシャルメディアプラットフォームとして知られるスナップチャットが、開幕まであと100日を切っている平昌冬季五輪において、ディスカバリーコミュニケーションズ社と契約合意に達したと報じられている。
ディスカバリーコミュニケーションズ社は、欧州全域で展開するスポーツ専門局「ユーロスポーツ」の親会社。また、同社は2018年から24年にかけて欧州50カ国における独占的な五輪放映権を取得している。
この契約により、ユーロスポーツがスナップチャットのストーリー機能(ビデオや写真をスライドショー形式で公開し、24時間で消滅する)を使って、欧州の複数の言語に対応した五輪に関するコンテンツを提供することになると予想される。
このストーリー機能には、URLを入れることで続きを他のサイトで見られるように誘導することが可能。ストーリーでインパクトのある映像を作成し、そこから自社のサイトに誘導することも期待できるだろう。
スナップチャットの大きな特徴と言えるのが、メインユーザーが10代から20代前半の女性ということ。一般的にスポーツを熱心に観戦する人が少ないと見られているこの層への働きかけとして、スナップチャットを使ってのPRは効果的な手法と言える。
若い女性層が関心を持つようなファッションアイコン的な要素を備えたスター選手や、若者に人気のエクストリーム系の競技によりフォーカスするかなど、ユーロスポーツがスナップチャット用として、通常のものとどのような差別化を図るのか興味深い。
また、この視聴者のメイン層が若い女性と細分化されていることで広告を出稿するスポンサー企業側としても、よりターゲットを絞った広告を展開できる。例えばスポーツメーカーなら、デザイン性に優れた女性向けブランドのプロモーションに集中することなどがやりやすくなる。
アメリカでも同様の試みが実施される予定で、放映権を持つNBCは大手ネットメディアのBuzz Feedとの共同プロデュースでスナップチャット上にコンテンツを配信する。この3社による企画は、2016年リオ夏季五輪に続いてとなる。
今回の契約ニュースを報じたロイター通信によると、IOC(国際五輪委員会)はリオ五輪での、SNSやウェブなどによるデジタルカバーの合計時間は24万3,000時間と、伝統的なTV放映権に比べて2倍以上に達したと発表した。
テレビ以外のSNSを中心とした様々なプラットフォームでのダイジェストを含めた映像配信が、さらに増えていくのは時代の流れ。そして。テレビ離れが進んでいる若者世代に関心を持ってもらうには、テレビ局であってもそれ以外での配信をどれだけ強化していくのかが大切になっていることを今回の契約は示している。