・オリンピックの放映権、ネット配信権を持っている放送局(NBC)と、多くのユーザーを抱えるアプリサービス(Uber)とのパートナーシップ。
・Uber乗車時にアプリ経由でNBC五輪特設サイトにアクセス可能となり、試合ハイライトや代表インタビュー等のオリジナルコンテンツを閲覧できる。
・莫大な配信権を払ったNBCは、五輪コンテンツの視聴者を(さらにその先に通常NBC視聴者も)獲得するために、既に米国内で主要交通インフラとなったUbrを利用。
日本代表のメダルラッシュもあって大きな盛り上がりを見せ、先日終了したばかりの平昌冬季五輪だが、アメリカ国内の放映権を保持しているNBCではUberとのパートナーシップで視聴者を増やすための取り組みを行っていた。
これはUberの利用者が車に乗ったことでサービスがスタートすると、Uberのアプリから、NBCの五輪特設サイトへとアクセスできるようになるもの。このサイトではアメリカ代表のインタビュー、デイリーハイライトなどが提供されていた。また、Uberアプリ経由でしか見ることができない特別コンテンツも配信されている。
NBC五輪中継チームの代表者は、今回のパートナーシップ発表時に「Uberとの素晴らしいパートナーシップを通して、アメリカ在住の人々の平昌五輪における素晴らしい場面に対しての感動をより高めることができる」と同社のホームページで述べていた。
Uberにとって、NBCの協力により同社のサービスを利用しての移動中という隙間時間において、利用者に特別なコンテンツを配信しているのは同業他社との差別化をアピールできるメリットとなる。国内スポーツが盛んなアメリカにおいて、五輪は日本程に国民的なイベントではないが、それでもスポーツ大国アメリカであり、五輪は多くの人々が関心を持ちやすいコンテンツであることは間違いないだろう。
また、これはコンテンツを配信するNBCにとっても大きな効果が期待されるものであったはずだ。Uberは日本と違い、アメリカでは一般に浸透している人気サービスで利用者は多い。そして手持ち無沙汰になりがちな移動中であり、さらに専用アプリからの誘導という効果で、動画を見てもらいやすい状況になっている。ここで映像を見てもらえれば、帰宅した後での五輪視聴につながることが期待できる絶好のPR機会だ。
当然のようにNBCは、莫大な放映権料を払っており、それに見合った効果を得るためには少しでも多くの視聴者を獲得することが何よりも必要となる。ただ、メディアが個々の様々な趣向に対応することで、より細分化している現状において、不特定多数へのアピールが難しくなっている。そんな中、Uberという主要交通インフラの1つとなりつつあるサービスとのパートナーシップは不特定多数への告知としては効果的な手法の1つではないだろうか。