・約30年間スポンサーシップをしていたF1からフォーミュラEへの移行
・移行の理由は「革新的で持続可能なスポーツ」だから
・環境に優しいフォーミュラEへのスポンサードはイメージアップに繋がる


 ドイツの高級アパレルブランドのHUGO BOSSがF1へのスポンサーシップを終了し、フォーミュラEへの移行が発表されている。フォーミュラEは排気ガスが出ない電気自動車で競うF1とは異なる特徴を持ったモータースポーツだ。HUGO BOSSはフォーミュラEでは初となる公式アパレルパートナーに就任する。

 F1のメルセデスを2015年から、それ以前にはマクラーレンのスポンサーも務めており、HUGO BOSSとF1との関わりは30年以上の歴史があった。フォーミュラEの公式アパレルパートナーに就任するにあたり、フォーミュラE公式ユニフォームやデモカー、コースサイドにも「HUGO BOSS」のロゴが掲出されることになる。フォーミュラEの2017/18シーズン(シーズン4)は12月2日に香港で開幕戦を迎え、そのタイミングからHUGO BOSSとの契約もスタートする。

 今回のスポンサーシップの移行は、フォーミュラEが電気自動車で競う「革新的で持続可能」スポーツであることが大きな要因となっている。HUGO BOSSのCEOであるマーク・ランガーはフォーミュラEへのスポンサーシップについてこう述べている。

 「ファッションブランドとして、我々は常にデザインとサステナビリティ(持続可能性)について革新的なアプローチを模索してきた。フォーミュラEを最初に目にした時、すぐにそのポテンシャルに気づいたよ。最初の公式アパレルパートナーとしてこのエキサイティングで新しいモータースポーツをサポートできて嬉しいよ。」

参入企業増加にみるフォーミュラEの可能性

 HUGO BOSSが30年以上の関係があったF1からスポンサーシップを移行したことで注目を浴びたフォーミュラEであるが、実はフォーミュラEに参入する自動車メーカーが急速に増え続けている。同じドイツ企業でいえば、ポルシェがWEC世界耐久選手権、メルセデスがDTMツーリングカー選手権から撤退し、フォーミュラEに参戦することをこの夏に発表している。

 こうした背景にあるのが、2015年にフォルクスワーゲン(VW)のディーゼルエンジンの排気ガスに関する不正が発覚した「ディーゼルゲート」だ。これを境に多くのヨーロッパの自動車メーカーが、資金面での問題や環境への配慮からモータースポーツへの参加を縮小している。

 その一方でフォーミュラEは、排気ガスが出ない電気自動車で走るクリーンでエコなスポーツだ。近年では電気自動車の開発に力を入れるメーカーが増えており、そういったメーカーにとってはフォーミュラEは絶好のアピールの場となる。

 また、フォーミュラEでは大きなエンジン音が出ないため、F1とは異なり市街地の公道をサーキットにしてのレースが可能だ。すでにロンドンやパリ、ブエノスアイレスといった様々な都市で開催されている。市街地でレースを行うことで、今までモータースポーツに触れる機会がなかった人々の目にも止まる。クリーンでエコな上に、より多くの人々の関心を集めるポテンシャルを秘めている。そんなスポーツコンテンツとして非常に魅力的なフォーミュラEに参入する企業は今後も増えていくだろう。

HUGO BOSSの狙い

 HUGO BOSSとフォーミュラEのスポンサーシップに話を戻すと、HUGO BOSSの狙いは認知拡大とブランディングにある。環境に優しく電気自動車を使った近代的なイメージのあるフォーミュラEへのスポンサードは、企業のイメージアップに繋がる。また、市街地でレースを行うフォーミュラEはより多くの注目を集めることで大きな露出価値が見込め、新規層の認知拡大に繫るだろう。

 HUGO BOSSは高級アパレルブランドとして知られており、そのメインターゲットもある程度の収入を抱える30〜40代の男性であり、F1やフォーミュラEのメインのファン層と重なる。加えて、年長者の世代に比べ環境への意識が高いと言われているミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭までに生まれた人々)にもアプローチができる点も魅力だ。

 しかし、ロゴ掲出だけではフォーミュラEの資産をフル活用できていない。フォーミュラEと絡めて様々な環境への取り組みを行うことでスポンサーシップの価値を最大化できるだろう。HUGO BOSSよるスポーツと環境に焦点を当てたアクティベーションが今後生まれていくことを期待したい。