・ラグビーウェールズ代表の胸スポンサーに、ホーム(いすゞ)とアウェイ(スバル)でそれぞれ競合他社が入ることに。
・契約主体は自動車の輸入販売会社で、いすゞ・スバルの両ブランドを取り扱っている。
・ノッツ・カウンティFCの胸スポンサー、10ヶ月間で10社の企業に分割してセールスを実施。


 ウェールズのラグビー協会は11月に代表チームのアウェイユニフォームの胸スポンサーに新しくスバルのブランド名を入れる事を発表した。同協会はこの6月に代表チームの胸スポンサーとして、いすゞと2021年までの4年契約を発表したばかりだが、今回のアウェイユニフォームのスポンサーロゴをスバルに変える事はこれまで明かされずに来た。

 一見すると、ホームとアウェイで同業他社のブランドロゴが入る事はあり得ない事の様であるが、今回のスポンサー契約をラグビー協会と結んでいるのは、Import Motor Group(IM Group)という車の輸入販売会社で、彼らがイギリスでいすゞとスバル両方のブランドを輸入販売している為実現可能となったのである。

 6月にIM Groupといすゞのロゴでのユニフォームスポンサー契約を発表した際、その契約の規模はウェールズラグビー協会のユニフォームパートナーシップ契約史上、最も大きな契約、と言われており、協会の最高経営責任者によると今回の提案(アウェイユニフォームに違うブランド名を入れる事)は「我々のパートナーにとってのスポンサー契約価値を最大限にし、国際規模での我々のチームの露出を増加させる為」との事。この新しい試みは今後2シーズン、男女のフル代表チームに適用される。

スポンサーに寄り添った提案

 IM Group UKの取締役社長は、「いすゞブランドを通して、私達はウェールズラグビー協会と素晴らしい関係を築いてきた。ピックアップトラックのプロモーションが常に第一優先であったが、今回スバルブランドもこの契約に含めてもらえると言う協会の提案があった時、私たちは即座に同意した。」と語っている。

 それまでフル代表チームのユニフォームスポンサーを務めていた保険会社のAdmiralとの契約が終了したタイミングで、ウェールズ協会は今年6月にIM Groupと数百万ポンドの契約を結んだ。同社が大々的にプロモーションを仕掛けたい、いすゞの新車、D-Maxピックアップトラック販売に合わせての契約だった。ウェールズは国土の大部分が山地でピックアップトラックやオフロードカーは人気があり、国民的人気のあるラグビーの代表チームとのパートナーシップによるブランド露出は同社にとって費用対効果の期待できる契約である。それに加え、同社がもう一つ積極的に販売しているオフロードカー、スバルブランドの露出も図れるとの事で魅力ある提案であったと想像できる。

画期的なスポンサーセールスで顧客満足度向上、新規スポンサーも魅了

 もう一つ、ユニフォームスポンサーにおいて面白い試みをしているイギリスのチームがある。ノッツ・カウンティFCというサッカーチームで、現在活動している世界のプロサッカーチームの中で一番古いクラブとして知られている(English Football League Twoに所属)。ノッツ・カウンティFCは2017-18シーズン、月毎にユニフォーム胸スポンサーを募集したのだ。10か月間、10社のスポンサー枠は完売した。ファンはチームのユニフォームをスポンサーロゴ無し、もしくは10社から好きな企業ロゴを選んでオーダーし購入する事が出来る。1社に高額では売れないスポンサーシップを、10分割にし、価格を落とす事によって完売する事が出来たと言う成功例だろう。

 ユニフォームスポンサーは大抵のチームにとっては最も大きな利益を生み出すカテゴリーであり、ウェールズラグビー協会やノッツ・カウンティFCの事例の様にスポンサーに寄り添ったフレキシブルな提案は、大型スポンサーの満足度を向上させるのに重要な戦略であろう。そしてそのチームやスポーツ組織の姿勢は既存のスポンサーの満足度向上にとどまらず、新規スポンサーをも魅了する。