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ラグビープレミアリーグ、冠スポンサーの保険仲介業者が地元企業に協賛権益をシェア。その狙いとは

https://twitter.com/GallagherUK/status/1355093806459269121


・保険仲介業者とプロスポーツリーグのパートナーシップ
・コロナ禍で打撃を受ける7つのローカル企業やチャリティ団体に自社の協賛権益を譲渡。リーグと共に地元企業を支える活動を実施。
・各団体はリーグに所属する地元クラブとパートナーシップを組み、試合会場等でのプロモーション機会、ネットワーキング目的のイベント開催権、従業員へトップ選手と対面できる機会を提供。さらに、自社の本業を生かしたビジネスアドバイスも行う。
・自社の協賛権益を困っている人に還元し、信頼感や好感、さらには顧客化というリターンを長期的に狙う。


スポンサー権益をシェアする新しいアクティベーションの形

イングランドラグビーのプレミアリーグで冠スポンサーを務める国際的な保険仲介業者のギャラガー社は、2021年1月末に『Tackling Tomorrow. Together』キャンペーンを発表した。”Tackle”という単語はラグビーの代名詞とも言えるディフェンスの花形技を連想させるが、同時に問題に取り組む、挑戦するといった意味を持つ。このキャンペーンの名前はラグビーのタックルにかけていながら、「明日に向かって挑戦しよう、一緒に」というニュアンスに受け取れる。

その名の通り、このキャンペーンの目的は新型コロナウィルス感染拡大の影響を大きく受ける中で必死に奮闘する小規模のローカルビジネスを、ラグビー界が一体となって一緒に支えようというものだ。イングランド全土から、コロナ禍における様々な制限を受けながらも、しなやかに粘り強く、そしてパイオニア精神をもって前向きに活動に取り組む7つの企業やチャリティー団体が支援先としてピックアップされた。選ばれたのは地域に根差した比較的小規模なビジネスばかりで、靴メーカーからこどもホスピスまで、多種多様だ。

それぞれの団体はリーグに所属する地元のクラブとパートナーシップを組み、試合会場でのスクリーンや配布されるプログラムに広告を出す新規プロモーションの機会や、ネットワーキングを目的としたイベントの開催権などが付与される。さらに、従業員を対象にトップ選手らと会えるチャンスもあるとのこと。これらは本来ギャラガーがリーグの冠協賛社として保有していた権益を、支援団体にシェアする形だ。加えて、ギャラガーの本業である保険・金融業の専門的なナレッジを提供し、この困難な時期にビジネスを維持成長させるためのアドバイザーとしても、各団体をサポートするという。同社のWEBサイトでも対象となる団体のサービスや商材が紹介されており、こうした手厚い支援は向こう12か月間継続される計画だ。

イギリスは度重なるロックダウン政策などで、多くのローカルビジネスが苦境に立たされる状況にある。これを受け、ギャラガー社のアンバサダーを務める元イングランド代表で国民的スター、Ugo Monye氏はこう語る。

「新型コロナウイルスは全てのビジネスに少なからず困難を与え、方向転換を余儀なくされた人も多い。そんな中でギャラガーが冠協賛社である自社の特権をこのような形で活かし、ローカルビジネスにスポットライトを当てる取り組みを行うことは大変に聡明で喜ばしい。プレミアシップラグビーの各クラブを通じて、彼らのビジネスのさらなる発展を手助けできることを願う」

自社の持つ権益をシェアすることで信頼感の醸成へ

ギャラガー社はもともとBtoBのビジネスを主軸として展開する保険ブローカーだ。本来であれば協賛社として露出機会を創出したり、ファンのエンゲージメントを高めることで自社のブランディングを確立していく想定だったはずが、状況は大きく変わった。会場に観客を入れることもできない中で、自社がもつ協賛社としての権益を最大限活用しようとした時に、あえて自社の顧客となるローカルビジネスへ権利を譲渡することで、「顧客を救うギャラガー」のイメージを広くアピールすることができる。

実はこうした権益行使の手法は今回が初めてのケースではない。コロナ禍のスポンサーアクティベーションの選択肢として、自社の持つ権益を1つのアセットと捉え、困っている人に還元することで信頼感や好感、さらには顧客化という大きなリターンを長期的に狙う流れができつつあるのではないだろうか。こうした地域の人々や生活を巻き込んだ”権益シェア型アクティベーション”は、withコロナ時代の新たなトレンドとして大きな可能性を感じる。

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ライター:中澤薫

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