・”W杯”スポンサーでもなく、”イングランド代表”スポンサーでもない、イギリスのスポーツギアメーカーのアンブッシュマーケティング。
・ロシアW杯のタイミングに合わせて、若年層をターゲットにyoutuberのミュージシャンを起用し、イングランド代表の応援ソングを作成。
・イングランド代表の試合前にTwitterで投稿。


イギリス発のスポーツブランドであるUmbroがサッカーのロシアW杯に際して、有名ユーチューバー兼ミュージシャンであるBrett Dominoと共にイングランド代表の応援歌を作成した。

この応援歌の歌詞には、「フットボール」「ドリブル」「ゴール」と言ったサッカーを連想させる言葉が出てくるが、大会に関連する「W杯」や「イングランド」という言葉は一度も出てこない。

その他にも、イングランドが最後にW杯を優勝した「1966年」を暗示していたり、「インターナショナルフットボールトーナメント」などW杯の言い換えのような関連性の強い言葉が歌詞に含まれている。

Umbro  はTwitterを通してこの応援歌をイングランド代表の試合前にツイートして宣伝した。また、#EnglandAnthem や #ItsComingHome (ロシアW杯でのイングランド代表の躍進によってイングランドで流行った言葉) といったイングランド代表に関連あるハッシュタグも使用し関連性を高めている。

「応援歌」を活用した”アンブッシュマーケティング”

このUmbro による応援歌は、ロシアW杯という大型スポーツイベントに便乗する典型的な”アンブッシュマーケティング”だ。

イングランド代表のユニフォームサプライヤーはナイキが務め、W杯のスポンサーはアディダスのため、Umbroは直接的にイングランド代表やW杯との関連性を押し出すことができない。そのため、関連する言葉を入れ込んだ応援歌を作成することで、歌を聞いた人にこれらのワードを想起させることで、間接的に関連性を持たせている。動画の中で「オフィシャルスポンサーではないから○○○という言葉は使えないんだ」と話していることからも、かなり意識していることが分かる。

アンブッシュマーケティングを進める企業としては、W杯期間中に自分たちのブランドのことをできるだけ視聴者に想起してもらいたい。その目的を達成するために、一度聞いて耳に残れば想起してもらいやすい「応援歌」をマーケティングに活用することは、視聴者とのコミュニケーションを図る上で非常に有効な手段だ。また、Youtuberのミュージシャンを起用している点でもミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭までに生まれた人々)以降となる若者へのアプローチを意識していることが分かる。

アンブッシュマーケティングの施策において、SNSでの関連性を暗示する投稿や動画広告の作成はよくある形だ。それに加えて、Umbro の事例ようなスポーツとの親和性の高い「応援歌」の活用はこういったマーケティング手法を狙う企業にとって考えておくべき選択肢の1つと言えるだろう。