・クレジットカード会社と大型スポーツ大会(インドネシア開催)とのパートナーシップ
・Facebook上でARカメラを使って、インドネシアの部族のフェイスペイント等が楽しめるアプリサービスを開発
・インドネシアはFacebook利用率が高く、このアプリ体験をさせることで競合ブランドとの差別化を図る目的
開催地にちなんだARカメラを使ったサービスを提供
2018年8月18日から9月2日にかけて、アジア版オリンピックとも呼ばれるアジア競技大会がインドネシアの首都ジャカルタで開催された。そして大会の公式スポンサーであるマスタカードは、スポーツファンや観戦に訪れた人々とのエンゲージメントを高めるためにFacebook上でARカメラを使って遊べるアプリサービスを公開した。
このARカメラを使うことで、ファンはインドネシアの部族がモチーフのフェイスペイントと音楽を体験でき、録画した動画をSNSに投稿できる。これによりインドネシア代表のサポートや、大会を楽しんでいることをアピールできる。このアプリは、マスターカード、スポーツ&エンターテイメントに特化した代理店であるOctagon、テックカンパニーのAliveNowの3社で共同開発した。
また、マスターカードは競技会場に特設ブースを設け、ビッグスクリーンでこのARカメラを体験できる場も提供するなど、より多くの人に楽しんでもらえる取り組みも行なった。
*このARカメラはこちらのリンクから追加することで、今でも体験することができます。
利用率が高いFacebookを活用しファンにアプローチ
このマスターカードによるARカメラは、主なターゲットであるインドネシアの人々のSNSの利用状況を踏まえた上で設計されたアクティベーションだ。全世界のマーケットリサーチ等に関するデータを公開しているStatistaによれば、2017年のインドネシアにおけるSNSのシェアでFacebookの利用者は全体の41%を占めており、Youtubeの43%に次いで2位の結果となっている。Youtubeが動画に特化したメディアであることを加味すると、コミュニケーション主体のメディアでは1位となるFacebookに、ARカメラを実装したことは合理的な判断であると言える。
また、動画の中にはマスターカードとアジア競技大会のロゴ、公式スポンサーというテキストが掲載されており、この動画を見た人々にマスターカードがアジア競技大会のスポンサーであるということを認識してもらいやすくなっている。機能的にもファンが自発的にシェアしたくなるコンテンツのため、自然とファンが拡散してくれる仕組みとなっている。
クレジットカードの市場を考えると、ビザ、アメリカン・エキスプレスなどの競合と差別化を図る上で、ブランドイメージが非常に重要となってくる。そのため、最も利用率の高いFacebookを活用してアジア競技大会のスポンサーであることをアピールしブランドイメージを高めることで、最終的には自社サービスの利用者を増やすことがマスターカードの狙いだと考えられる。
こうしたARとSNSを活用した事例は、テクノロジーの進歩とともに今後も増え続けていくだろう。ARの活用で表現は広がっていく中、ファンの興味を引く内容かつ、そのスポーツと関連性が高いコンテンツを作成することが重要だ。