・韓国自動車メーカー(オーストリア拠点)とプロテニスプレーヤーとのパートナーシップ契約
・契約選手が出場する大会のオーストリアでの試合映像配信権を購入し、自社サイトで配信
・契約選手の自国における知名度、人気度を利用したブランディングが目的
今年の全仏準優勝、期待の若手ティエムの試合を配信
韓国の起亜自動車はオーストリア出身の人気テニス選手ドミニク・ティエムのスポンサーを務めていることから、同社オーストリア版のHPにおいてティエムの試合のストリーミング配信を行った。
ティエムは今年の全仏オープンで準優勝、全米オープンでもベスト8に進出するなど成長著しい25歳。15日の時点で世界ランキング7位に位置するなど男子テニス界の次代を担う逸材であり、オーストリアを代表する人気アスリートの地位を確立している。
企業が自社HPにおいて、契約する選手を使った告知、プロモーション映像などの特設ページを作るのはよくある。しかし、スポンサードしている選手の試合を配信するのは、珍しい試みと言えるだろう。ただ、このアクティベーションが話題となることで起亜は、オーストリアの人々に同国のスター選手を支援していることを代々的にPRすることでの認知度アップを図れる。そして当然のことながら、視聴したテニスファンに、同社の車を見てもらえる。
配信された大会は9月中旬にロシアで行われた男子プロテニス(ATP)ツアーのサンクトペテルブルクオープン。そして、ティエムはこの大会で見事に優勝を飾って計4試合が配信された。起亜側にとっては最も告知効果の高い結果となっている。
ちなみにこの大会は、ATP250というカテゴリーでワールドツアーの中では最下層のトーナメントだった。しかし、だからこそ、逆にグランドスラムのような主要大会と違って視聴するのが難しい。テニスのコアファンでないティエムのライト層ファンにとってはありがたいサービスになったことで、起亜のイメージアップにもつながっていくだろう。
過去にはNBAオールスターの車飛び越えダンクで大きな話題に
起亜はこれまでにもトップアスリートを使った斬新なアクティベーションを行っており、記憶に新しいのは男子プロバスケットボールNBAの2011年オールスターのダンクコンテストだ。起亜はオールスターの冠スポンサーを務めているのだが、コンテストで優勝したブレイク・グリフィンが、最後に披露したダンクは同社で主要車種として位置付け、NBAオフィシャルカーとなっていたオプティマを飛び越えてのもの。このダンクは当時、大きな話題となったことで結果的にオプティマの認知度向上の大きな助けとなった。
ちなみに、2016年になってグリフィンはこのダンクについて「本当はオープンカーでやりたかったが、それは許されなかった」と明かしている。当時から彼は起亜のブランドアンバサダーを務め、その後オプティマの広告に起用されていることから、あの話題のダンクは綿密に計算されたものであることが伺い知れる。今後も同社が、トップアスリートを絡めてどんなスポンサーアクティベーションを行なっていくのか関心を持っていきたい。