・デジタル決済サービス企業とプロスポーツチームのパートナーシップ
・ファンの利便性、エンゲージメントを高めるサービスのユーザー体験促進(アリーナ内の物販、公式ストアでの利用)
・チーム側にとってもスムーズな決済が可能となり、アリーナ内の混雑緩和、かつ、チケット・物販購入の促進につながる
サンズの公式戦で、ペイパルを使って買い物が可能に
デジタル決済サービスを提供するペイパルが、北米プロバスケットボールNBAフェニックス・サンズとチーム初となる胸パッチスポンサー契約を結んでいる。この契約により、ペイパルはサンズの公式ペイメントパートナーとなる。
ペイパルはオンラインショッピングにおける決済や、個人間の送金などが行えるアメリカ発祥のデジタル決済サービスだ。クレジットカードやデビットカード、銀行口座などを登録することで利用できる。一番の特徴は、カード番号などの決済情報をお店側に伝えることなく買い物ができる点で、安全にお金の取引を行えることからアメリカを中心に世界中に広がっている。また、カード読み取りサービスの提供や、独自のクレジットカードの発行も行っておりオフライン決済にも対応している。
また、ペイパルは女子プロバスケットボールWNBAフェニックス・マーキュリーと、サンズとオーナーが同じであるサッカーのスペイン・リーガエスパニョーラ2部に所属するRCDマジョルカの公式ペイメントパートナーに就任する。マーキュリーに関しては、2019シーズンからユニフォーム胸スポンサーとなることが決定している。
具体的なアクティベーションとして、ペイパルの決済サービスがあらゆる場所に導入される予定だ。サンズのホームであるトーキング・スティック・リゾート・アリーナ内の物販エリアや、アリーナ内の公式ショップの支払いにペイパルが追加される。公式アプリからもペイパルを使って買い物することができるようになる。
Our newest teammate!
@Suns x @PayPal pic.twitter.com/J36UhnVkMJ— Phoenix Suns (@Suns) 2018年10月2日
ファン・エクスペリエンスの最適化と自社サービスの浸透
ペイパルの決済サービスがアリーナ内や売り場に導入されることで、ファンはより安全でスムーズな決済が可能となり混雑緩和が見込める。そうしたショッピング周りのファン・エクスペリエンスを最適化することで、サンズとしてもチケットや物販収入の増加が期待できる。
サンズの社長兼CEOは「この地域におけるが存在感が高く、プラスの影響を与えるという共通の目的がある企業と提携することが重要でした。このパートナーシップを通して、我々はペイパルのテクノロジーとイノベーションに対する専門知識を活用し、地元や世界中のファンにとってより良い体験を生み出すことができるでしょう。」と述べている。
ペイパルの社長兼CEOも「サンズのファンの方々にアリーナ内でより便利で楽しめる新しいショッピング体験を提供できることが楽しみです。ペイパルは10年以上に渡りフェニックス近郊において高いプレゼンスを築いてきました。チーム初の胸パッチパートナーとなることで、我々も”ホーム”と呼ぶこの地域の重要な存在であるサンズと共に取り組んでいけることを誇りに思います。」と、同社のサービスが非常に浸透しているこの地域に貢献したいという考えが見て取れる。
グッズやチケットの購入など、決済シーンがスポーツには数多くあるため、ペイパルとスポーツのコラボレーションは親和性が高い。ペイパルはもともとオンライン決済に強みがあるが、オフライン決済にも力を入れている。そのため、サンズというスポーツチームへのパートナーシップを通して、オフライン決済をより多くの人に体験してもらうことで、自社サービスをより浸透させる狙いがあると想定される。
胸パッチスポンサーとしての契約に注目が集まりがちだが、ペイパルがすでにアメリカ国内で広く浸透していることを加味すると、認知の獲得よりも自社決済サービスを導入して多くの人に体験してもらうというアクティベーションに重きを置いたパートナーシップと言える。これからの動きにも注目したい。