3月17日から21日にかけて東京ドームで開催された『2019 MGM MLB 開幕戦』において、冠スポンサーである日本MGMリゾーツが行った体験型企画などのアクティベーションと、スポーツ・スポンサーシップ部門トップへのインタビューをお届けする。

21日の試合で始球式に挑む、MGMリゾーツの会長 兼 最高経営責任者 ジム・ムーレン氏

東京ドームで行われたアクティベーション

まずは、東京ドームで同社が実施したアクティベーションを紹介していく。

・スタジアム周辺におけるロゴ露出

同社は冠スポンサーであることから、『MGM RESORTS JAPAN』の文字が掲載された大会ロゴや、同社単体の企業ロゴがスタジアム内外のあらゆる所に掲載された。

・アスレチックスのユニフォーム右袖へのロゴ露出

ロゴ露出の中でも特筆すべきは、アスレチックスのユニフォーム右袖に同社のロゴが掲載されたことだ。通常、MLBではビジネス色を強めない目的でユニフォームへのスポンサーロゴの掲載は行われていないが、この開幕戦限定のアクティベーションとなった。

ちなみに、マリナーズの右袖には、同じくスポンサーであるJXTGエネルギーのガソリンスタンドブランド『ENEOS』のロゴが掲載された。

・バーチャル野球が体験できるモバイルゲーム

アクティベーションの最大の目玉は、バーチャル野球を楽しむことができるモバイルゲームだ。ブースに設置されたQRコードを読み取ることで、来場者はゲームにアクセスできる。遊び方は、ゲーム上でピッチャーが投げたボールにタイミングを合わせてスマートフォンを振ると、ボールを打つことができる。これを繰り返し行うことで、スコアが加算されていく。

スコア上位者には特別な景品があり、1位に入賞したファンには開幕戦の使用済み公式球と公式サプライヤーであるマジェスティック製のクラブTシャツ、2位にはマジェスティックのレプリカユニフォーム、そして3位にはNew Era 940 ベースボールキャップがプレゼントされた。

また、イニング間にスタジアム内の大型ビジョンを活用し、このモバイルゲームを来場者と一緒にプレーする取り組みも行われていた。

大型ビジョンで行われたモバイルゲームの様子

MGMリゾーツ、スポンサーシップ部門トップへのインタビュー

今回、MGMリゾーツ・インターナショナル(以下、MGMリゾーツ)のスポーツ・スポンサーシップ部門のトップであるランス・エヴァンス氏と、日本MGMリゾーツのジロー・カワカミ氏にインタビューを実施。同社が行ったアクティベーションの狙いや、日本でのビジネス展開とスポーツの関連性ついて伺った。

MGMリゾーツのランス・エヴァンズ氏(写真右)とジロー・カワカミ氏(写真左)

MGMリゾーツのランス・エヴァンス氏(写真右)とジロー・カワカミ氏(写真左)

― 今回、モバイルゲームによる体験型のアクティベーションを実施した理由を教えてください。

エヴァンス氏:大きな目的としては、MLBのプロモーションをすることが一つ、そしてファンの人たちと交流して、このMLB開幕戦を支える役割を担いたいと考えました。ファンが直接体を動かすようなものではなく、モバイルゲームにしたのは、バーチャル体験として実際に東京ドームで野球の試合を観戦しながら、ホームランダービーをするという経験ができたらおもしろいと考えたからです。

また、MGMリゾーツはエンターテインメントの企業であることから、今回は野球とテクノロジーを活用し、ファンのエンゲージメントを高める形でプロモーションを行いました。

―今回のアクティベーションのKPIは何でしょうか。また効果測定はどのように行いますか。

エヴァンス氏:ゲームに参加したユーザーの総数をKPIとして設けています。また、スタジアム内外で何人のファンがこのモバイルゲームを使っているのか、一試合でどれくらいの参加者がいたのかもKPIです。モバイルゲームという特徴から、スタジアムの中や外、そして試合が終わった後でも楽しむことができるため、ブランドの露出やファンとの交流ができたと考えています。 ソーシャルメディアでの拡散も期待しており、そうしてファンとのエンゲージメントを高めることもKPIとして考えています。

―現在、力を入れている大阪でのIR開発において、課題に感じていることはありますか。また、その課題をスポーツでどのように解決しようと考えていますか。

カワカミ氏:課題はたくさんあります。まず、この業界のことを、きちんと理解していただく必要があると考えています。何年にも渡ってIRはカジノ施設と考えられてきましたが、実際にはホテル、ショッピング、エンターテイメント、スポーツ、ショーなど様々な施設が入った総合エンターテインメント施設です。今回のパートナーシップは、我々の産業への理解を深めていただく一助になると考えています。今日の試合の来場者数だけで約4万5千人、さらに数百万人の方々が試合を見ています。そのため、今回のようなMLBとの取り組みで、MGMがどういった会社なのか、スポーツを通じて認知度が高まるのではないかと考えています。

―米国のスポーツへのスポンサーシップを積極的に進めていますが、これから日本のスポーツへのスポンサーシップにも力を入れていく予定はありますか。

エヴァンス氏:昨年4月に開催された横浜アリーナでの村田諒太選手のボクシングの試合や、10月にパークシアターで行われたボクシングの試合のスポンサーを務めました。このように、日本の様々なスポーツへのスポンサーシップは今後も積極的に検討していきます。

― 米国や日本でオンラインギャンブルに関する規制が緩和されつつあり、スポーツベッティングも広がっていくことが考えられます。そういった分野への進出も考えていますか。

エヴァンス氏:米国ではネバタ州だけがスポーツベッティングが合法化されていました。最近ではニュージャージー州など7つ州でも合法化が進められています。こうした動きはこれからも進んでいくと考えられるため、我々も各州で準備していきたいと思っています。

カワカミ氏:日本に関しては、IRとしてのスポーツベッティングの展開には、現在関与しておりません。今後、業界の中で接触していく可能性はありますが、日本の関連諸制度の状況を見守りたいと考えています。

エヴァンス氏:また、スポーツベッティング施設がなくとも、成功しているIRが多いことも指摘させてください。

IR整備推進法案がカジノ法案と呼ばれていることからも、IR建設はカジノだけが注目されることが多い。しかし、同社の米国における売上構成比は、カジノなどのゲーミングは3割で、残りの7割はホテルやショッピングモールなど、それ以外の事業によって生みだされている。そうしたことから、自社の認知度を高め、IR=カジノというイメージを払拭することが、今回のアクティベーションの狙いであることがうかがえた。

開幕戦翌日の3月22日には、オリックスを中心とする日本企業と共に、大阪でのIR開発に向けて協業を検討していることが報じられた。オリックスは、球団経営やスポーツ施設運営も行なっていることから、スポーツエンターテインメントに強いIRオペレータである同社とのパートナーシップは、IRを拠点に日本のスポーツ市場に訪日外国人観光客の集客なども含め新たなビジネスチャンスをもたらすと期待されている。

日本初のIR施設は大阪に誕生するのか。また、IR×スポーツの新しい形のエンターテインメントは生まれるのか。その鍵を握る同社の動きには、今後も注目していきたい。

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