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現地レポート

2019 MGM MLB 開幕戦レポート:日本MGMリゾーツが冠スポンサーを務めた狙い 前編

https://twitter.com/Mariners/status/1108035471576313857

日本MGMリゾーツが『2019 MGM MLB 開幕戦』の冠スポンサーに

北米プロ野球リーグMLBの開幕戦、シアトル・マリナーズ対オークランド・アスレチックスの試合が3月20日、21日に東京ドームで開催された。これに先立ち、3月17日、18日には読売ジャイアンツと北海道日本ハムファイターズがマリナーズとアスレチックスそれぞれと対戦するプレシーズンゲームも行われた。日本でのMLB開幕戦は実に7年ぶりとなる。この試合の冠スポンサーを務めたのが、世界で統合型リゾート(英称Integrated Resort、以下IR)を展開するMGMリゾーツ・インターナショナル(以下MGMリゾーツ)の日本法人、日本MGMリゾーツだ。

IRとは、ホテル、カジノ、会議施設、ライブや演劇などのエンターテインメント施設、レストラン、ショッピングモールなどが合わさった複合施設を指す。MGMリゾーツは世界に28のホテルを含むIR施設を運営し、代表的な施設にラスベガスの『ベラージオ』や『ARIA』がある。

大阪にIR施設建設を目指す

日本では2016年12月にIR整備推進法案が成立したことで、国内に最大3カ所までカジノを含むIR施設が建設可能となった。それにより、この3カ所を巡って海外IR事業者が日本での活動を活発化させている。実際にIRを開業するには、自治体の指定事業者に選ばれ、区域整備計画(IRの事業内容や経済効果をまとめたもの)を国に申請し認定区域に認められる必要がある。同社は、大阪の夢州を第一候補地にすると宣言し、大阪での地域イベントへの参加などを通じて認知度向上に注力している。

同社のラスベガスにある大型IRではスポーツ事業が集客の柱となっており、プロスポーツチームを同社アリーナに誘致するなど、米国の各種スポーツ団体との関係構築を積極的に推進している。今回の冠スポンサーは、IRにおけるスポーツ事業の重要性、ならびに同社が有すスポーツエンターテインメント資源を日本でアピールしようとするものだ。

米国でのスポーツベッティング解禁

同社は2018年5月に米最高裁判所が事実上スポーツベッティングを解禁する判断を下したことを皮切りに、米国スポーツへのスポンサーシップを積極的に進めている。MLBとは2018年11月に包括的なパートナーシップ契約を結び、公式エンターテインメント・パートナー、および公式ゲーミング・パートナーに就任。他に、北米プロバスケットボールNBA、北米プロアイスホッケーリーグNHL、北米プロサッカーリーグMLS、MLBのボストン・レッドソックスとのスポンサー契約を結んでいる。

MGMリゾーツが結んだスポンサー契約の例
2018年7月:NBA、WNBA
2018年10月:NHL
2018年11月:MLB
2019年3月:MLS、ボストン・レッドソックス

ゲーミング業界でデータ・サービスを提供している「ギャンブリング・コンプライアンス」によれば、米国のスポーツベッティングの市場規模は、2023年までに1年間で31億ドル(約3500億円)から52億ドル(約5700億円)に及ぶと推計されている。つまり、この解禁はカジノリゾートを運営をする同社にとって大きなビジネスチャンスだ。2018年7月には、大手ゲーミング会社でスポーツベッティングを行うGVC ホールディングス PLCと合弁会社を米国に設立しており、各州で市場開拓を進めていくと考えられる。

スポーツベッティングの解禁は、八百長などの不正行為の誘発や、スポーツ選手や審判の安全が脅かされるといったリスクも指摘されている。しかし、「ベッティングに参加しているからこそ試合をリアルタイムで見たい」といった形で、スポーツ観戦のあり方の多様化を推進し、スポーツ市場が活性化する可能性も秘めている。

後編では、東京ドームで実施されたアクティベーションの紹介と、同社スポーツ・スポンサーシップ部門トップへのインタビューをお届けする。

後編はこちらから

ライター:編集部

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