・乳製品メーカーによる国際スポーツイベントでのアンブッシュマーケティング
・自国出身者の社員が母国の試合を応援できるよう、出場しない国出身者を臨時雇用
・ブランディングに加え、インナーモチベーションアップ施策としても効果的
ペルー人社員に休暇を与えるために外国人スタッフを雇用
昨年、ロシアで開催されたサッカーのワールドカップにペルー代表が36年ぶり5回目の出場を果たした。同国内でのサッカー人気は非常に高く、出場が決まった試合翌日が大統領命令により祝日になったほどだ。
大会期間中も、試合が行われる日は多くの会社や店舗が休みとなり、国民が観戦できるように配慮された。しかし、乳製品メーカーLaiveは、日持ちしない食品を取り扱っている事情から工場を休みにすることができなかった。その打開策として、外国人スタッフを臨時雇用し、ペルー人の社員と交代するユニークな取り組みを行った。
雇用したのは、アメリカ人やイタリア人などのいずれも予選で敗退した国の出身者であり、同社のペルー人社員が気兼ねなく応援に熱中することができる配慮がなされた。同社がこの取り組みを動画にし、Facebookに投稿したところ多くの賞賛のコメントが寄せられた。
Todos los peruanos querían ver jugar a su equipo, pero nuestra fábrica no podía parar. Por eso convocamos a los mejores suplentes, que nos ayudaron y disfrutaron cada momento con nosotros. Por eso, ¡muchas gracias suplentes! ? Mira el video y descubre lo que pasó ➡
Laiveさんの投稿 2018年7月6日金曜日
社内外のブランディングに繋がるアンブッシュ施策
ワールドカップは世界中の注目が集まるビッグイベントであり、企業にとっては自社のアピールをする絶好の機会である。しかし、Laiveは大会やペルー代表の公式スポンサーではないため、公式ロゴや「ワールドカップ」といった表現を使用したプロモーションができない。
そのため同社は、“自国の社員が気兼ねなく観戦できるように外国人スタッフを臨時雇用する”形で便乗するアンブッシュマーケティングを実施したと考えられる。この方法であれば、スポンサーでなくてもワールドカップと関連づける形で、注目を集めることができる。
この施策は、社員の会社に対する愛着と働く意欲を高めるインナーブランディングとして機能している。また、社外向けにも社員を思いやる会社としてブランドイメージを高めることができ、入社希望者を増やす採用効果も期待できるだろう。このようにスポーツは、大衆に向けた知名度アップといった外向けのPR戦略だけでなく、社員や採用活動への施策としても大いに活用できるはずだ。