・フードデリバリーサービス企業が、世界的スポーツイベントで公式パートナーと組んでプロモーションを実施
・大会に出場できなかった国の選手が、公式スポンサーの商品を注文すると、出場国の元選手達が配達員となり届けに訪れ、それぞれ自分達の国を応援するようプレゼンする動画を作成。
・公式スポンサーと連携することで大会公式ロゴの利用や大会と関連付けたマーケティング活動を可能にしている
W杯に出場しないスター選手を広告に起用
昨年サッカーのロシアW杯にて、フードデリバリーサービスのUber Eatsが公式パートナーであるマクドナルドと共同のプロモーションを実施した。
それは、60年ぶりに本大会の出場を逃したイタリア代表のスター選手アンドレア・ピルロに、イタリア以外で応援する国を見つけてもらう、『 #TeamForPirlo(ピルロのためのチーム)』という企画だ。
プロモーション動画が作成され、「今回のW杯でプレーすることを楽しみにしていますか?」とインタビュアーが彼に不適切な質問をしてしまうところから始まる。彼は怒ってしまうが、一人のサッカーファンとして楽しめる初めてのW杯であると諭され、イタリア以外で応援するチームを決めることになる。
そして、彼がUber Etasでマクドナルドの商品を注文すると、8カ国(ブラジル、フランス、イングランド、メキシコ、オーストラリア、ポルトガル、コスタリカ、日本)のレジェンド選手が配達員になり商品を配達しに訪れる。彼らは自国を応援してもらえるようピルロに自国の魅力などをプレゼンする。日本からは元代表の福田正博が登場し、日本のサポーターの観戦マナーの良さや、だるまに願い事をする文化を紹介した。
公式スポンサーと共同のプロモーション
マクドナルドは、自宅から注文できる配送サービス『マックデリバリー』を世界中で展開しており、当時26カ国でUber Eatsと提携してサービス提供していた。そのため、今回のプロモーションは、Uber Eatsを利用してマクドナルドの注文を促すことで売上の向上を狙ったものだろう。
特筆すべきは、W杯のスポンサーではないUber Eatsが、公式スポンサーであるマクドナルドと連携することで自社のプロモーションを可能にしている点だ。単独では、W杯の呼称やロゴの利用など、直接大会と関連づけたマーケティング活動を行うことができない。
同じ事例として最近では、東京五輪の公式パートナーであるクレジットカード会社のVisaが、パートナーではないメッセージアプリLINEのキャッシュレスサービスと提携。東京五輪オリジナルデザインの『VISA LINE Pay カード』を2020年1月頃から発行することを発表している。大型スポーツイベントでアンブッシュマーケティングを仕掛ける上で、公式パートナーとの連携は、代表的な選択肢の1つとなってきている。