・中国スマートフォンメーカーと世界的なテニストーナメントとのパートナーシップ
・戦略的に「高性能、高価格帯の商品」「ヨーロッパ市場」を重要視しているので、ファンの中で富裕層比率の高い全仏オープン、ウインブルドンといった世界的テニストーナメントを選択
・各試合間の隙間時間にファンに体験してもらえるように、大会会場に商品を試せるブースや、大会の様子をスマホで撮影したフォトギャラリーを設置し、スマホカメラ性能をPR
OPPOがウィンブルドン、全仏オープンの公式スマートフォンパートナーに
アジア、中東の会社が世界的な知名度向上を目的に欧米の人気スポーツチーム、ビッグイベントのパートナーになることは典型的な戦略の1つだ。例えばUAEのドバイを拠点とするエミレーツ航空はイングランドのアーセナルで胸スポンサーと、本拠地の命名権取得を筆頭にスペインのレアル・マドリード、イタリアのACミランといった各国の名門サッカークラブのスポンサーシップを通して認知度を大幅にアップさせた。近年では楽天が北米プロバスケットボールNBAのゴールデンステイト・ウォリアーズ、スペインのサッカークラブであるバルセロナの胸スポンサーとなったことで、欧米市場で知名度を高めたことは記憶に新しい。
そして今、同様の戦略を取っているのが中国のスマートフォンメーカーOPPOだ。日本では馴染みが薄いものの中国を軸にアジア圏では屈指のシェアを誇る同社は数年前からバルセロナとパートナーシップ契約を結び、チームのエンブレムがデザインされたコラボ携帯を発売するなど色々な取り組みを行っていた。ただ、今年に入ってより大々的な知名度向上にむけてプロモーションを展開しており、そのターゲットにしているのがテニス大会で今年のウィンブルドン、全仏オープンと4大大会の公式スマートフォンパートナーになっている。
この2大会では会場やホームページといった公式メディアなど様々な場面で同社の名前や、ロゴが掲出される。さらに、会場では同社の最新機種を実際に手に取ることができる展示スペースも設置される。
4大大会のチケットは高額でもあり、客層は富裕層が多いことでも知られている。だからこそ、高価格帯の機種をアピールするのに格好の場所と言える。また、大会は試合と試合の合間など隙間時間があり、そういう時の時間潰しとして普通のショッピング中などと比較しても展示スペースに誘導しやすいだろう。
From the crowd to the clay, we've been exploring new creative capabilities at #RG19 with the #OPPOReno 10x Zoom. ?
With the finals just around the corner, who is going home with a trophy? ? #AceTheShot pic.twitter.com/b62Om2AFou
— OPPO (@oppo) June 7, 2019
自社製品の高品質をアピールする場としても活用
また、今の携帯市場において、各社が性能をアピールする主なポイントはカメラ機能となっている。OPPOもこの点を重視しているからこそ、ウィンブルドン、全仏オープンでは同社のスマホで撮った写真を展示するフォトギャラリースペースを設置。また、SNSにも写真を投稿し、具体的には新商品の『OPPO Reno 10xZoom』の性能の高さを積極的にアピールしている。
スポーツ観戦に訪れた観客が、記念に試合模様を写真に収めることは当たり前の行為となっている。そして、スポーツは選手が素早く動いているだけに他のエンターテイメントと比べてもブレない写真を撮るのが難しいイベントだ。
だからこそ、そんなスポーツでピントのあった素晴らしい写真を撮って展示することは、自分たちのカメラ機能がいかに優れているかを示せる絶好の機会となる。今回のOPPOのアクティベーションは、知名度アップだけでなく、そこから一歩踏み込んで自社製品の性能をしっかりとPRすることも設計されている点で注目すべきだ。