・大手スポーツメーカーとサッカー女子代表チームのパートナーシップ
・スナップチャットのARフィルターを通して新ユニフォームの試着体験ができ、同じ画面からECサイトへ遷移し購入できる
・アプリ体験を通して興味関心を高め、購入までの導線が設計されている


スナップチャットのARフィルターを活用

現在、フランスでサッカーの女子W杯が開催されている。その出場国である米国代表の公式サプライヤーを務めるナイキが、若者に人気のSNSスナップチャット上で新ユニフォームを試着できる機能を公開した。

スナップチャットは、カメラを通して顔や体にARフィルターをかけることで、様々なものに変身して遊ぶことができるのが特徴だ。今回は、フィルターを通してユーザーが赤色の1st、白色の2ndユニフォームの試着が可能となっている。そして、スクリーンをタップするとナイキのECサイトに遷移し、そのまま購入することができる。この機能は、発売日の5月9日限定で公開された。

興味を抱いたユーザーをその場で購入に繋げる

このフィルター機能は、スナップチャットのメインユーザーである若い世代をターゲットとした、新ユニフォームの宣伝と購買促進が狙いだろう。通常、ECサイトでは試着ができないため、自分に似合うかどうか購入前に不安に思う人も多いだろうが、そうした不安を緩和してくれるコンテンツとなっている。また、この取り組み自体に話題性があり、ユーザー同士のコミュニケーションを促すきっかけになることから、宣伝効果も期待できる。

そして特筆すべきは、やはりSNS上からECサイトに遷移することで、その場で欲しいと考えたユーザーに購入を促せることだ。

ナイキがアパレル部門でこの機能を実装するのは初めての試みであるが、バスケットボールシューズブランド『エア・ジョーダン』でも同様の取り組みを行なっている。ブランド名の由来にもなっているマイケル・ジョーダンが、1988年にNBAオールスター・スラムダンクコンテストで優勝した時から30周年を記念し、新シューズを2018年のオールスター最終日2月18日に販売した。その際に、優勝時に魅せたフリースローラインからのダンクシュートを新シューズを履いた姿で再現したARフィルターを作成し、アプリ上でそのシューズを購入できるプロモーションを実施している。彼のプレーを過去の映像でしか知らない若い世代が、ARフィルターを通して間近に見る機会となった。

ショッピング機能を搭載するSNSは、スナップチャットだけではない。特に日本では、Instagramの利用が進んでおり、2018年6月にアプリからECサイトに遷移できる機能を公開したことを皮切りに、アパレルブランドだけでなく多くの企業で活用されている。現在は、ECサイトへの遷移機能のみ日本で実装されているが、米国ではアプリ内で購入まで完結できる機能が試験導入されており、今後も発展していくとみられる。

アパレルブランドやメーカーだけでなく、スポーツチームやスポンサー企業にとっても、SNSはファンや新規層へのアプローチを図る上で、重要なマーケティングチャネルだ。今回のナイキの事例のように、ARなどの最新テクノロジーを活用することで、その可能性は大きく広がる。それだけでなく、興味を抱いたユーザーがその場でアクションを起こしてもらえるような全体設計が、今後もより重要となってくるだろう。