・大手ビールメーカーと人気カーレースチーム(プロスポーツチーム)のパートナーシップ
・若年層(ミレニアル世代)のファン獲得が両者にとっての課題

・SNS(#投稿)でユーザーから集めたフレーズや絵文字のアイディアを元にペイントされた車でオールスターレースに出場


有名選手のレースカーを「ミレニアル世代」をテーマにデコレーション

米国の人気カーレースNASCARのレーシーングチーム『スチュワート=ハース・レーシング』のパートナーを務めるアンハイザー・ブッシュ・インベブのビールブランド『ブッシュ』が、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭までに生まれた人々)をターゲットにしたSNS企画を実施した。

その内容は、TwitterとInstagramを通じてファンから同世代が好むフレーズや絵文字を募集。そして看板ドライバーであるケヴィン・ハーヴィックは、5月19日に開催されたオールスターレースで、このアイデアを基にペイントされた車でレースに出場した。

この企画の発端は昨年のモンスターエナジーNASCARカップシリーズにおいて、残り1レースとなった状況で、総合優勝の可能性が残る4人のレーサーの内ハーヴィックが唯一の40代で、他3人が90年生まれのジョーイ・ロガーノ、80年生まれのマーティン・トゥーレックス、85年生まれのカイル・ブッシュとミレニアム世代であったことだ。この世代の違いを受けてスポンサーのブッシュは、ハーヴィックが総合優勝を逃した場合、彼の車をミレニアル世代仕様にデコレーションする公約をTwitter上で掲げた。そして、最終的にハーヴィックが、年間王者に届かなかったことで企画が実現した。

ハーヴィックは、ペイントされた車を初めて見たとき「ほとんど何が書いてあるか分からない。でも、僕はこの最高の #MillennialCar (ミレニアルカー)で #AllStarRace (オールスターレース)を走るよ。」とTwitterに投稿し、戸惑いながらもレースへの意気込みをみせていた。

SNSを使ってメインのファン層とは異なる層へアプローチ

ドイツのオンライン統計調査会社の『スタティスタ』によれば、2014年から2018年にかけて米国におけるNASCARの1レースあたりの平均視聴者数は530万人から330万人に減少しており、なおかつ2016−17シーズン時点において視聴者の平均年齢が58歳と若い世代のファンが少なく、レースの人気低迷が囁かれている。

そうした背景から、ハーヴィックと彼の所属するスチュワート=ハース・レーシングは、若い世代に興味を持ってもらう目的で、今回の企画に賛同したと考えられる。そして、募集したアイデアをそのまま形にすることでファンとの関係性をより強固にできれば、コアファンの形成にも繋がる。

また、オールスターレースは通常のシリーズレースと異なり、レース結果に総合順位争いのポイントが加算されず、賞金のみのお祭りレースだ。だからこそ、いつもと違うプロモーションを行いやすく、個性のある企画で注目を集めやすい状況になっており、しっかりタイミングも考えられた施策といえる。

さらにこの企画で注目すべきは、アイデアを募る段階からハッシュタグに#MillenialCar を使用し、この世代がターゲットであることを明確に打ち出している点だろう。この世代の人々に“自分ごと”として認識させ、企画への参加を効果的に促している。このようなSNSを使い、ファンの声を直に反映させる取り組みは特に若者への浸透度を図る上で重視すべきものだ。