・大手飲料メーカーとプロスポーツリーグのパートナーシップにおける、コロナ禍ならではのアクティベーション
・コロナ禍により会場でのテールゲートパーティーが禁止。自宅に応援するチーム仕様のテールゲートパーティーセットを配達するキャンペーンを実施。
・持病があるため来場を控えるシーズンチケットホルダーに、いつも座っているスタジアムの座席を贈呈。昨シーズンで引退を表明したチームの人気選手が自宅へ届ける様子をCM化して、ファンの共感を獲得。
新型コロナウィルス感染対策によって失われたテールゲートパーティを再現
アメリカ最大の人気スポーツである北米プロフットボールのNFLは、コロナ禍にあっても例年と同じく9月中旬にシーズン開幕を迎えた。ただ、当然のようにいろいろなマイナス面はあり、その際たるものは観客を大幅に制限、もしくは無観客で試合が行われていることだ。
そして、この影響はアメリカを代表するスポーツ文化にも影響を及ぼしている。フットボールでは試合の数時間前からスタジアム周辺にてBBQスタイルで周りのファンと一緒になって食事を楽しむテールゲートパーティが、ゲーム観戦時における1つの文化となっている。しかし、それも人と人との接触を避けないといけない現状では行うことができない。
この状況を受けて、NFLの公式ドリンクスポンサーであるペプシが行ったのが『The PBC Fall Football Homegate Sweepstakes』というアクティベーションだ。これはTwitterを通して募集したもので、当選者の自宅の庭に実際のNFLホームゲームであるような本格的なテイルゲイトパーティのセットを提供するものだ。
今回、当選者はニューヨーク・ジェッツのファンであることから、大きくジェッツのチームロゴが描かれる。さらにミニチュアのフットボールのゴールポストが設置されるなど、ファンであれば一生物の思い出となる巨大セットを作り上げた。
We only paved one fan's yard, but we wanted to give everyone a piece of the tailgate to bring home.
RT this using #tailgateinabox and #sweepstakes for a chance to win.https://t.co/U7OzBzru1l pic.twitter.com/nc4d6qsZiG
— Pepsi (@pepsi) August 24, 2020
リアルの持つ力を最大限に生かし、実際の席を自宅に届ける
他にもペプシは、コロナ禍の影響を受けたファンをサポートする取り組みを実施した。感染リスクを考え持病など健康に不安があることで、例えシーズンチケットホルダーであっても今シーズンのゲーム観戦を見送る人たちは存在する。
1973年からずっとピッツバーグ・スティーラーズのシーズンチケットホルダーであり続けている一家だが、父親が2年前に癌を患っていることから健康面を考えて今年は試合を観に行かないことを選択する。これを知ったペプシとスティーラーズは、実際に本拠地ハインツ・フィールドでこの一家が座っている席をスタジアムから取り外し、自宅でもこれまでと同じ席で応援して欲しいと贈呈した。そして、親子にこのプレゼントを届けに訪れたのが開幕直前に引退を表明したが、チームの中心選手として活躍していたライアン・シャーザーだった。
このペプシのアクティベーションは、デジタルや最新の技術は全く使われていない。企画の内容自体は極めてシンプルなものだ。ただ、今のコロナ禍でスポーツファンの心に何が響いて、自分たちのブランドイメージ向上につなぐことができるかを的確に把握している取り組みだ。また、リアルで観戦できないことでバーチャル体験を意識した企画へが増える中、ペプシの姿勢は改めてリアルが持つ力を思い起こさせてくれたことも強調したい。