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オンライン事例

米ワインメーカー、スポーツチームを通したコロナ禍におけるスポンサーシップ

https://twitter.com/Capitals/status/1246117300325015555


・米国西部のワインメーカーと米国東部のプロスポーツチームのパートナーシップ
・オンラインでワインを購入すると1本につき値段の15%をワシントンDCのコロナ対策機関へ寄付
・ファンが購入したワインの画像を#投稿すると、ワシントン地域の食糧支援機関へ1画像につき100食を寄贈
・ファンからの寄付額が2万5000ドルに達すると、監督が断髪式を行いさらに2万5000ドルを上乗せするというチームの食糧支援のためのチャリティ活動も冠スポンサーとして支援
・自社サイトで直接購入させることで、詳細な顧客情報を収集できる


ワインメーカーが、スポーツチームの地元自治体の食糧支援をサポート

新型コロナウィルスのパンデミックにより、現在のスポーツ界は無観客、もしくは人数を制限しての試合開催を余儀なくされている。これにより、不特定多数の多くの人に自社の商品をPRできるといったスポーツチームのスポンサーを務めることが得られるメリットが減少していることは否めない。B to Cを生業とし、自分たちの商品の認知度をどんどん上げていきたい企業にとっては、スポーツチームを通してのアクティベーションで従来とは違う施策を行うことが求められている。

そんな中、アメリカの代表的なワイン生産地カリフォルニア州ナパを拠点とする『フレッシュ・バイン・ワイン』社は、今春に北米プロ野球リーグのタンパベイ・レイズ、北米プロバスケットボールのワシントン・ウィザーズとNHLワシントン・キャピタルズの親会社である『モニュメンタルスポーツ&エンターテイメント』(MSE)社とパートナーシップ契約を締結。そこでの試みが興味深いにものになっている。

まず、同社が今回の契約を受けて行ったのは、チームを通してタンパベイ、ワシントンDCの地元自治体が行っている食糧支援機関へ食べ物を提供すること。また、この地域貢献活動にファンを積極的に巻き込むことを目指した。

キャピタルズとウィザーズのファンが、オンラインで同社のワインを購入すると1本につき値段の15%をワシントンDCのコロナ対策機関へと寄付。レイズのファンがオンラインで購入し、届いたワインをハッシュタグ「#FEEDTHEBAYFRESH」をつけてSNSに投稿すると、1枚の写真につき100食を追加で寄贈する内容となっていた。

さらには、ウィザーズのスコット・ブルックスHCがNBAの活動停止中に実施したチャリティ活動も冠スポンサーとして支援した。『“Brooks’ Looks” charity challenge, presented by Fresh Vine Wine』と名付けられたこの企画は、ブルックスが医療従事者に新鮮で健康的な食事を提供するための寄付を募りそれが2万5,000ドルに達すると、自身が娘さんに髪を切ってもらいさらに2万5,000ドルを寄付するもの。見事、目標金額に達したことで断髪式の様子はSNSで公開され話題となった。

社会貢献をしつつオンライン購入によって、詳細な顧客データの獲得につなげる

西海岸を拠点とするフレッシュ・バイン・ワインにとって、タンパベイ、ワシントンDCとアメリカ大陸の真逆である東海岸への知名度を高めることは、コロナ禍によってより難しくなっている。そこで抜群の発信力を持つスポーツチームと一緒になって、それぞれの地元の社会貢献活動を推進していくことはブランドイメージを高める。

また、お酒を飲みながらのんびりした外食が困難な現状だけに、オンラインでのワイン購入を促すのは世の中のニーズをとらえている。また、自社のサイトから購入してもらうことで、より詳細な顧客データを得ることができるのも大きい。元々、アメリカではSDGsといった企業の社会貢献活動が重要視され、その流れは新型コロナウィルスの感染拡大を受けより大きくなっている。今回のフレッシュ・バイン・ワイン社のアクティベーションは、社会貢献と顧客データ獲得の一挙両得となるものだ。

ライター:鈴木栄一

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