・世界的アルコール会社によるプロスポーツリーグ+選手会のスポンサーシップアクティベーション
・世間やファンが注目するイベントの内容に合わせて、ファンの共感を呼ぶキャンペーンを実施
・母の日に母親に感謝の電話を促すキャンペーンを実施。キャリア初を達成した際の選手から母親への電話の音声を使った特別CMを制作し、試合中継にて放送
・伝説的黒人選手の生誕100周年を称えた特別CMを制作し、同選手が設立した財団に限定ボトルの売り上げの一部(背番号にちなんで42セント)を寄付


母の日に選手を活用し母親に感謝を伝えるよう行動を促す

北米プロ野球リーグMLBの公式スポンサーであるビールブランドのバドワイザーが5月10日の母の日に#CallYourMom(あなたのお母さんに電話して)と題した母親に感謝の電話をすることを促すキャンペーンを実施した。

この企画のために制作されたCMでは、トップ選手たちがキャリア“初”を達成した瞬間とその後、選手が母親と電話で交わした会話が流される。キャリア初の完封を達成したニューヨーク・ヤンキースのルイス・セベリーノ、ホームランを打ったシカゴ・カブスのウィルソン・コントレラス、そして満塁ホームランを打ったセントルイス・カーディナルスのマット・カーペンターとオークランド・アスレチックスのクリス・デービスの4バージョンがある。

何れもプレー映像が終わると、“どの初めても、彼女への電話が最初だった”と表示され、続けて同ブランドが長年使っているキャッチコピー、“This Bud’s for You(このバドをあなたに)”を捩った“This Bud’s for Mom(このバドをお母さんに)”の締めの文句と共にさりげなくMLBとバドワイザーのロゴが表示されてCMは終了する。

<ルイス・セベリーノ版のCM>

さらに全米中継されたヤンキース対レイズの試合で、90秒間のスポットCMとして最初の30秒でセベリーノ版を流し、その後の60秒は電話の静止画とカウントダウンに加え、“この時間を使ってお母さんに電話して”とメッセージを放送した。野球はイニング間など隙間時間の多いスポーツであり、実際に電話することが十分に可能だ。競技の特性が考慮された内容となっている

レジェンド選手を称えるキャンペーン

他にも同社は今年3月から、1940年代の人種差別が厳しい時代にMLBで活躍した黒人メジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンの生誕100周年を称えたキャンペーンを行っている。ロビンソンは引退後も公民権運動に積極的に関わり、死後も強い影響を残している。同社は3分間のキャンペーンCMを作成し、黒人差別を描いた映画作品を手掛けるスパイク・リーを監督に起用。「インパクト(影響)」と題して、ロビンソンのプレー映像や当時の服装のファンがバドワイザーを手に試合中継をラジオで聞いている場面、現代で様々な人種の人がアメリカ市民権宣誓を行う様子が交互に現れ、最後にマイノリティ支援団体の人々が紹介される内容だ。彼が生前与えた影響と、今でも社会に与え続ける影響が表現されている。また、限定ボトルのバドワイザーも販売し、1本売れるごとに42セントをジャッキー・ロビンソン財団へ寄付を行う。

<インパクト>

元々、バドワイザーは1980年からMLBの公式スポンサーを務めるが、アルコール依存症が深刻な社会問題である米国では、リーグ側が選手たちに酒類の広告出演を制限してきた。昨年9月に選手会と新たな契約を結んだことでユニフォーム姿の選手たちを広告に起用できるようになった。

世間やファンが注目するイベントで的確なキャンペーンを実施

こうした背景もあり、どちらもCMも選手のプレー映像は登場するも、選手がビールを飲むシーンはなく、直接的に商品をPRする内容にはなっていない。しかし、世の中の関心が集まる母の日などのイベントや、ファンが注目するレジェンド選手の記念日に合わせて、的確なキャンペーンを打つことで全米のMLBファンの共感を獲得している。さらに、こうした施策を定期的に行うことでファンの心理に深く刻まれ、ブランドイメージの向上に繋がるのは間違いないだろう。

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